ここ数年で高性能化、「ドライブレコーダー」の“低価格モデル”があまりおススメできない理由

年末年始の帰省や冬休みのレジャー&ドライブなどクルマが活躍する機会が増える中、昨今注目を集めているのが「ドライブレコーダー(ドラレコと呼ばれる事が多いです)」です。しかし、実際多くの商品が出ている中、どれを選べば良いのか悩むところです。多機能かつ他機種にわたるドラレコ、これだけは抑えておきたい「基本中の基本」を教えます。


前年比で4割増の売り上げ

昨今カー用品店に行くと感じるのがドラレコ売り場に来ているお客様のユーザー層が変わったことです。ズバリ言うと女性が増えています。もう少し正確に言うと、ご夫婦・カップルで見に来ている人が多いのです。

理由は昨今の「あおり運転」事件や昼夜を問わず駐車中に発生する「車上荒らし」など男女問わず危険に遭う確率は上がっているからです。

ドラレコの本来の目的は「万が一の事故の際の記録」でしたが、現在では「監視ツール」としての位置づけが上がっています。つまり「自分の身は自分で守る」ことには男女差などまったく関係ありません。

実際ドラレコは出荷ベースですが昨年の7~9月期と比較しても約4割増えています。つまりそれだけ需要があり、多くの人が欲しいと感じていることがわかります。

「安物買いの銭失い」は避けたい

昨今、EC(eコマース)などドラレコを検索すると驚くほどのモデルが出てきます。

ドラレコの平均価格というのはそれなりにあるのですが(1カメラ式で1万円強くらい)、実際サイトを視ると安い物だと4,000円くらいで購入できる商品もあります。「これでいいんじゃない」、多くの人はそう思うのではないでしょうか。しかし待ってください。実際、保証も含め、ドラレコは一定の機能を有していないと前述した用途を発揮できません。つまり安さに釣られて購入することは「安物買いの銭失い」になってしまうわけです。

GPS内蔵は必須

JVCケンウッドの人気モデル「DRV-W650」は1カメラタイプですが、GPSはもちろんWi-Fiも内蔵する高画質モデルです

まず最初は“GPS”搭載モデルを選ぶことです。

これだけスマホが人々の生活に入り込んでいるなか、“GPS”の存在を知らない人は少ないのではないでしょうか。位置や地図検索、カーナビはもちろんですが、食事に行く際にだってGPSはあらゆるシーンで活躍しています。

ドラレコも同様です。万が一のトラブル発生時に「それは何処で起きたのか?」を映像だけでなく位置情報として記録する必要ことで昨今では裁判などでも有益な証拠として使われるケースも出てきました。

実は前述した価格の安いドラレコにはこのGPSが内蔵されていないモデルが多いのです。カメラ機能は優れていてもGPSが無ければ正直ドラレコとしての魅力は半減です。モデルによってはオプション対応するものもありますが、その分出費が増えますのでまずGPS内蔵を念頭に購入を考えてください。

カメラの基本性能はどうすればいい

数年前に比べるとドラレコの性能は大きく向上しています。予算が許せば高性能なドラレコはいくらでも手に入る時代です。

しかしコスパを考えるとまずは以下の性能は抑えておきたいです。

①カメラの解像度は200万画素以上、フルHD(1,920×1,080ドット)以上
②カメラの撮影範囲は140度以上(対角)
③トンネルや逆光時にも補正をしてくれるHDRやWDRと呼ばれる機能
④前述したGPS機能内蔵

これが最低抑えておきたい性能です。あえて細かく解説しなかったのは、カー用品店では比較しやすいように上記の項目が「マーク化」されているケースが多いからです。つまりひと目見て①~④が“全部入り”になっているモデルを選べばまずは安心です。もちろん気になる人はショップで聞いてみることをオススメします。

またドラレコ直接の機能ではありませんが、記録するメディアにもこだわる必要があります。SDカードに代表されるメディアに映像を記録をくり返すと当然のことながらエラーなどの問題が発生しやすくなります。簡単に言えば、そのドラレコが対応するメディアの最大容量かつハイスピードなカードを選ぶのが良いでしょう。

わかりにくいようであれば昨今では「ドラレコ専用」と謳った商品もありますのでそれを選ぶのもひとつの手です。

駐車時が心配ならはこの機能も欲しい

カロッツェリアの「VREC-DZ700DLC」に搭載される「ナイトサイト」の画像。暗所でもしっかり記録します

昨今の車上荒らしなどは手口が悪質です。戸建てやマンションの平地置き、または月極駐車場を借りている人にとっても「クルマが晒された状態」と言うのは「盗んでください」と言っているようなものです(少々表現が厳しいですがプロは容赦なく犯罪を犯します)。

そこで昨今、注目を集めているのが「駐車監視機能」と呼ばれるものです。これはドラレコの内蔵バッテリーまたは車両に搭載されているバッテリーを使い、エンジンを切った後、車両に一定の衝撃が入った際(車上荒らしほか)にカメラの撮影範囲で何が起きているかを記録できる機能です。

特に暗い場所に駐車している車両は車上荒らしに狙われやすいのですが、この機能を搭載するドラレコの一部には肉眼では確認できない暗所でも人の顔やナンバーまで録画できる商品も存在します。

もちろん、その分価格は上がってしまいますが、冒頭に述べたように「自分の身は自分で守る」必要がある昨今ですからその投資に見合った効果は十分にあると思います。

できれば2カメラタイプ、360度撮影モデルも

パナソニックのストラーダ専用ドラレコ「CA-DR03TD」は前後のカメラのスペックが同じ。業界最高水準の明るいレンズを採用します

これまでドラレコの基本は車両前方を写し、記録する「1カメラ」タイプでした。しかし昨今は車両後方も記録できる「2カメラ」タイプがトレンドとなっています。

2カメラタイプがここまで人気となった理由は残念ですが「あおり運転」の影響が大きいと思います。

カメラが増えたわけですから当然価格も上昇しますが昨今では3万円前後に売れ筋が集まっており、昔より買いやすくなりました。これらには前述した「駐車監視機能」のほか、車両の後退時には「バックカメラ」としても使える商品も多いので、実はコスパは高いのです。その部分も含めて選ぶのが良いでしょう。

また昔はフロントカメラに比べてリアカメラの性能が貧弱、というモデルもあったのですが、昨今では同じ性能のカメラを前後に付けたり、形状は異なっても前述した①の解像度などは同じ、つまり昼夜問わずナンバーも含めた映像をきちんと記録できる商品が増えています。

前後をしっかり撮影できる2カメラ方式ですが、究極は360度撮影できるドライブレコーダーです。実は商品として販売されているのですが、360度を記録できる分、やや画質が劣ったり、記録された映像を確認するためには専用のソフト(アプリ)が必要だったり、何よりも価格が2カメラモデルより高くなってしまうケースがあるので予算とのバランスで選ぶのが良いでしょう。

取り付けはプロに任せるべき

カー用品ですから取り付け作業は発生します。この手の商品に詳しい人は別として、基本取り付けはプロに任せましょう。

ドラレコを設置するのに必要な知識・技術としては、以下の四点が挙げられます。

①道路交通法に準じた取り付け場所
②取り付け時にきちんと車両の周辺が映るようにする、きめ細かいキャリブレーション(調整)
③配線を車内にうまく隠した、スッキリとした仕上がり
④SUBARUのアイサイトに代表される、先進安全装備(カメラなど)と干渉しないための取り付けノウハウ

前述したように1カメラと2カメラでは当然工賃も異なります(2倍弱違います)。さらに言えば、国産車より輸入車の方が車種にもよりますが、約1.5倍ほど工賃が高くなります。

ドラレコを取り付ける際は、本体+工賃を含めた予算で考えることが必要となってきます。

まだまだドラレコは進化

「CA-DR03TD」は対応するストラーダの画面上で後方の画像をワンタッチで確認できます

昨今のドラレコは記録した映像をスマホ側にWi-Fiで転送し確認できるなど大きく進化しています。また同一メーカーにはなりますが、記録映像をカーナビの大画面で確認できる機能も今後のトレンドと言えます。

冒頭に述べた通り、ドラレコの本来の目的は「万が一の事故の際の記録」ですが、それが「自己防衛」という使われ方にもシフトしてきています。ただそれだけではあまりにも寂しい部分もあります。ドラレコで記録したドライブの思いでをスマホやPC、またナビの大画面で楽しむというのも家族や友人とのコミュニケーション向上にオススメします。

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