日ハム宮西が「オープナー」について球団に“要望” 吉村GMも納得「非常に前向き」

契約更改を行った日本ハム・宮西尚生【写真:石川加奈子】

今季から導入した「オープナー」に「作戦の1つとして面白い」も…

 来季2年契約の2年目を迎える日本ハムの宮西尚生投手が29日、札幌の球団事務所で契約更改を行い、現状維持の2億円プラス出来高払いでサインした(金額は推定)。

 球団との話し合いの中で最も時間を割いたのは、今季チームが導入したオープナー制度についてだった。「オープナーがダメという訳ではなく、あれは作戦の1つとして面白いし、いいと思う。ただ、やり方ですよね。今年は1年目ということもあって、みんな意思疎通できてないことがあったので。来年は準備の仕方なりを改善して、新しいオープナーをできればいいなと思います」と語った。

 試合の流れに関する情報が例年よりも少なかったため、リリーフ陣の準備が難しかったという。「今日はオープナーなのか、オープナーじゃないのか分からない時もあって。そういう情報が降りてこないので、早めのイニングを投げる選手は2回から8回までバックアップすることがあった。試合で投げる以上にブルペンで投げている子も多かった。それではシーズン後半、へばってしまう。無駄づくりをもうちょっと減らしたいので。はっきりと決まりを持ってやってほしいと球団には伝えました」と宮西は明かした。吉村GMは「批判ではなく、非常に前向きな、こうすればもっとよくなるという話だった。生の声として監督、コーチに届ける」と評価した。

岩瀬仁紀氏の15年連続50試合登板へ「ここからの1年、1試合1試合が本当にすごい厳しい」

 宮西自身は今季、左肘の手術明けにも関わらず、55試合に登板して1勝2敗43ホールド、防御率1.71と奮闘した。新人から12年連続で50試合以上登板し、2年連続3度目となる最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得。前人未到の通算300ホールドも達成した。

「肘の状態は最悪でした」と振り返る中での好成績。「自信になったか?」という問いかけにはすぐさま首を振った。「自信じゃない、感謝しかない。肘の状態があって、それなりの間隔を開けてもらったりしたので、若い子らの登板数が増えてしまった申し訳なさもある。そういう意味ではトレーナーさんしかり、監督、コーチ、リリーフ陣に助けられての50試合かなと思います」と感謝の言葉をまっ先に口にした。

 肘が痛くてもマウンドに立ち続けられるのは、岩瀬仁紀氏の15年連続50試合登板の記録に追いつきたいという思いとチームへの責任感があるからだ。岩瀬氏の記録まであと3年。来年35歳になる宮西は「見えてるんですけどね。ここからの1年、1試合1試合が本当にすごい厳しいというかハードルが高いなというのは年々思いますね。近くづくにつれて、きつさが分かってきます。これだけ投げ続けて休憩がないのでね。ここからが大変だなと思います」と難関に挑む。

「来シーズンも50試合以上登板したいと思ってますし、パ・リーグはいいリリーフが多いので、その中で3年連続のタイトルを目指したい。その中で優勝、日本一がついてきてもらいたい」と力を込めた鉄腕。若い投手陣をけん引しながら、あくなき挑戦は続く。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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