IoT活用 効率化図るスマート農業学ぶ 島原農高

ハウス内に設置している撮影用カメラと気温などを測るセンサーが一体化した機器を手にする生徒=島原市、島原農高

 長崎県島原市の県立島原農業高(前田達彦校長)が、情報通信技術(ICT)やIoT(モノのインターネット)を授業に取り入れ、農産物栽培に活用する取り組みを始めた。気温などを自動測定する機器をハウス栽培に導入し、先端技術で効率化を図るスマート農業を学ぶ。同校などによると、こうした事例は、県内の高校で初という。
 野菜(15アール)と果樹(25アール)のハウスに撮影用カメラ、気温や湿度、照度などを測るセンサーが一体化した機器を設置。スマートフォンなどでデータを遠隔地から確認できる。IoTを活用できる人材育成などを目指す市の事業の一環で、機器は市が貸与した。
 従来、1日に何度もハウスに出向き、気温などを直接計測していた。機器導入でハウス内の様子が自動撮影されるほか、光の量や二酸化炭素濃度なども計測でき、生育状態の確認が容易になり省力化にもつながる。市などによると、県内で先端技術を使ったスマート農業を取り入れた農家では、負担がこれまでの4分の1から3分の1程度になっているという。
 今後はデータ収集を進め、最適な収穫時期の把握やかん水などの手入れ、害虫予防など危機管理に活用。データの解析で、農産物の品質や収穫量向上を目指す。園芸科学科2年の宇土翔真さん(16)は「測定の自動化で手間が省け、害虫発生の兆候なども把握でき予防にもつながる」と話した。

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