ムーミンバレーパーク、“初冬の豪華企画”に気合いが入りまくるワケ

今年3月、埼玉県飯能市にオープンした「ムーミンバレーパーク」。フィンランド生まれの人気キャラクター、ムーミンの物語を主題にしたこのテーマパークが、開業以来初めてとなる冬を迎えます。

これに合わせて、11月30日から、光や音、映像とともに物語を体験できるイルミネーション「WINTER WONDERLAND in MOOMINVALLEY PARK EMPOWERED BY CALAR.ink」が始まります。

いったいどんな内容になっているのでしょうか。そして、新たな取り組みを始めたパーク側には、どんな狙いがあるのでしょうか。11月29日に開かれたプレスプレビューの中身を掘り下げてみます。


ムーミンが屋敷を舞台に動き回る

11月30日から来年3月8日までの期間限定で開催される「WINTER WONDERLAND」は、小説「ムーミン谷の冬」をモチーフに、昼と夜でこれまでのムーミンバレーパークにはなかった新たな演出を加えています。

その目玉は、メインエリアである「ムーミン谷エリア」を中心に夜に実施されるナイトイルミネーションです。

ムーミン屋敷では、約7分間のプロジェクションマッピングが映し出されます。冬眠中に目覚めてしまったムーミントロールが、屋敷を舞台に小さな冒険を繰り広げるというストーリーです。

ショーの終盤には、色鮮やかなオーロラが出現。埼玉に居ながらにして、本場・フォンランドさながらの冬の夜の絶景を味わえる内容になっています。

「おさびし山」も夜間解禁に

ムーミン屋敷のすぐそばには、高さ約4メートルの「ムーミン谷のウィンターツリー」が登場。ムーミン谷の仲間たちがクリスマスツリーを真似て作ったという不思議なツリーに近づくと、一般的なクリスマスツリーとはかなり異なる印象です。トランペットやバイオリンの音色も聞こえ、光と音で楽しく不思議な気分を味わえます。

ちょっぴりシュールな雰囲気もある「ムーミン谷のウィンターツリー」

その脇を通る「みんなの足あとの道」を歩いてみると、自分のものとは違う足あとが蛍光色で浮かび上がります。また「あいまいなものの道」では、ムーミンの仲間たちと一緒に雪遊びができる仕掛けになっています。

不思議な足あとが浮かび上がる「みんなの足あとの道」

これまでは夜にオープンしていなかった「おさびし山エリア」も、期間中は光のアトラクションで幻想的な風景を楽しめるようになっています。冬にだけ光るといわれている花が咲き乱れる「光る花の道」を抜けて山を登ると、頂上では雪玉のランタンの灯りを通して、ムーミンの物語のワンシーンが映し出されます。

昼は散歩や食事でムーミン谷を満喫

冬のムーミン谷を楽しめるのは、夜だけではありません。昼間は、大きな尻尾を持ったリスを追いかけて、リスの落とし物を集めながら謎を解いていくお散歩ラリー「りすをさがして」が開催されます。

開催時間は10~17時(最終受付は16時)。参加費500円が別途必要ですが、難易度は低めの設定になっているので、幅広い世代で楽しめそうです。

また1月上旬からは、「サウンドウォーク ~ムーミン谷の冬~」が始まる予定。ステレオヘッドセットを装着してパーク内を歩くと、自分の歩行に合わせて、雪の上を歩いているようなギュッギュという音が聞こえてきます。さらにパーク内のチェックポイントで物語を音で追体験できる仕組みにもなっています。

「サウンドウォーク」ではパーク内を歩いて物語を追体験(画面は開発中のもの)

アトラクション以外にも、期間限定のグッズやメニューを販売。はじまりの店では冬らしいコーデュロイ生地のバッグなどが販売されるほか、オリジナルバッジづくりのコーナーではWINTER WONDERLAND限定のデザインを10種類用意しています。

「ルオカラ」で提供される期間限定メニュー

展示施設「コケムス」内のレストラン「ルオカラ」では、ミートボールを雪玉に見立ててムーミン谷の冬をイメージした「ウィンターワンダーランドプレート」や、フィンランドの冬には欠かせないという「星のタルト」などを限定メニューとして提供しています。

開業1年目は夏場の天候不順が逆風に

パークを運営する「ムーミン物語」の親会社であるフィンテックグローバルの決算説明資料によると、2019年9月期のエンタテインメント・サービス事業は売上高が前期比4,079.3%増の54億円となった一方、本業の儲けを示す営業損益は4.23億円の赤字となっています。

2018年10~12月期と2019年1~3月期は、ムーミンバレーパークを中核とするテーマパーク「メッツァ」の開業準備費用がかさみ、四半期ベースで赤字に。3月にパークが開業し、春の行楽シーズンを迎えた2019年4~6月期は3.46億円の黒字に浮上しましたが、、2019年7~9月期は再び0.78億円の赤字に陥りました。

夏休みシーズンということで、4・5月と同様の来場者数を見込んで、4~6月期と同程度の人員を配置したものの、7・8月の天候不順が影響し、来場者数は想定を下回る結果に。当初はエンタテインメント・サービス事業だけで通年で65億円の売上高を想定していましたが、最終的には54億円にとどまりました。

その一方で、春の行楽シーズン並みに人員をそろえたため、営業費用は高止まりの状態に。結果的に、営業損益を大きく圧迫することになりました。

ムーミンバレーパークが開業2年目を迎える2020年9月期は、フィンテックグローバルにとっても正念場の年となります。となれば「WINTER WONDERLAND」で期初のロケットスタートに結びつけたいはず。初冬の豪華企画は、そんな意気込みの裏返しなのかもしれません。

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