あなたが最近、文化・芸術に触れたのはいつですか?

朝晩とだいぶ冷え込む季節になってきました。秋から冬にかけたこの季節には、展覧会やコンサートなど、さまざまな文化・芸術イベントが各地で開催されました。「文化・芸術」と聞くと、ちょっと敷居が高いと感じる人もなかにはいるかもしれません。

しかし、いまや日本が世界に誇る文化・芸術となったアニメをはじめ、映画やミュージカルのほか、ポップスやロック、ジャズなど多様なジャンルの音楽やダンス・パフォーマンス等も広く含まれます。

今回は、文化庁が行った「文化に関する世論調査」から、文化・芸術に親しむ機会についての調査結果をご紹介します。


鑑賞経験の少ないミドル世代

この調査では、「あなたはこの1年間で、どの程度、コンサートや美術展、アートや音楽のフェスティバル、歴史的な文化財の鑑賞、映画その他の文化芸術イベントを鑑賞しましたか」という設問文で、文化芸術の鑑賞の実態をたずねています。

その結果、直近1年にこれらのイベントを鑑賞したことがあると答えた人は回答者全体の53.9%と、「まったく・ほとんど鑑賞していない」と答えた46.1%をわずかに上回りました(図1)。

年代別にみると、40~50代のミドル世代では「まったく・ほとんど鑑賞していない」と答えた人が半数を上回り、他世代に比べ鑑賞する機会がなかった人が多くなっています。

注:文化庁『文化に関する世論調査』より作成。調査対象者は全国の18歳以上の日本国籍を有する男女3,053人。調査時期は2019年2月15日~2月20日。

過去1年間の鑑賞経験者が多かったのは「美術」と「映画」

この調査では、先の設問で鑑賞したことがあると答えた人に、直近1年間に鑑賞した文化・芸術イベントのジャンルについてもたずねています。回答結果をみると、最も多くあげられたのは「美術(絵画、版画、彫刻、工芸、陶芸、書、写真、デザイン、建築、服飾など)」で、「映画(アニメを除く)」が僅差でこれに続きました(図2)。

ただし、「ポップス、ロック、ジャズ、歌謡曲、演歌、民族音楽など」と「オーケストラ、室内楽、オペラ、合唱、吹奏楽など」を合わせた「音楽系」の割合でみると26.7%となり、美術や映画をわずかに上回ります。音楽系のイベントを広く捉えた場合、美術や映画以上に多くの人に鑑賞の機会があったとみることもできるでしょう。

資料:図1に同じ。4%以上の項目のみ掲載。選択肢にはこのほか「ストリートダンス(ブレイク、ヒップホップ等)、ジャズダンス、民族舞踏(フラダンス、サルサ、フラメンコ等)、社交ダンスなど」「バレエ、モダンダンス、コンテンポラリーダンスなど」「日本舞踏」「その他」「分からない」がある。

文化・芸術活動の実践経験者は約2割

一方、この調査では、鑑賞以外の文化芸術活動についてもたずねています。

「あなたは、この1年間に、鑑賞ではなく、自ら文化芸術活動の実践(創作や出演、習い事、祭や体験活動への参加など)をしたことはありますか」という設問に、「自分自身では文化芸術活動をしていない」と答えた人が65.4%を占めた一方、「分からない」と答えた人が約1割、残りの3割弱の人は何らかの活動経験があると答えています(図表省略)。

最も多かった実践経験は「作品の創作」

具体的な内容をみると、「文学、音楽、美術、演劇、舞踏などの作品の創作」や「地域の伝統的な芸能や祭りへの参加」「音楽の演奏や、演劇・舞踏・映画への出演など」「マンガ、映画などの映像作品、CG、ゲーム、メディアアートなどの作品の創作」などが比較的多くなっています。

年代別にみると、40代以上の世代では「自分自身では文化芸術活動をしていない」と答えた人が7割前後を占め、若い世代に比べ高い傾向にあります(図表省略)。

資料:図1に同じ

「文化・芸術」への親しみ方を考える

このように、いわゆる文化・芸術には世代によってジャンルは異なるものの、鑑賞を通じて親しむ機会があった人とともに、創作や参加等を通じてかかわりがあった人も一定の割合を占めます。

この調査によると、ミドル世代では過去1年間に文化・芸術を鑑賞する機会がなかった人が上下両世代に比べ多く、創作や参加等を通じて活動にかかわりがあった人も少ない傾向にありました。

ただし、ミドル世代に限らずこのような人のなかには、自身が鑑賞したイベントが「文化芸術」に該当するとは気づかなかった人や、創作・参加等を通じてかかわった時点ではそれらの作品や行事等がまだ「文化・芸術」として評価されていなかった(将来は高く評価される可能性がある)場合もあるかもしれません。

さて、あなたはこれからの季節、文化・芸術をどのような形で楽しみたいとお考えですか。

© 株式会社マネーフォワード