ペットの遺骨から真珠 依頼主「おかえり、という気持ち」

中西さんが育てていた愛犬と、遺骨から誕生した真珠、母貝

 長崎県五島市の奈留島で、ペットの遺骨を核に真珠を作る事業「真珠葬」を手掛けるウービィー(東京、増田智江代表)が、初めて真珠を完成させた。昨年11月に核入れをしてから1年。11月28日に島を訪れ、亡き愛犬の真珠を受け取った依頼主は「島の自然が育んでくれた。とてもきれいで、『おかえり』という気持ち」と喜んだ。
 同社はペットを失った喪失感「ペットロス」を抱える飼い主を癒やそうと、同市奈留町の真珠養殖業者「多賀真珠」(清水多賀夫代表)などと連携して真珠葬を考案。樹脂で包んだ遺骨をアコヤガイに託して真珠にする手法で、昨年11月以降、全国の38人の飼い主から計44匹の犬や猫の遺骨を預かっている。
 今回の依頼主は、犬との接し方などについて飼い主をサポートする一般社団法人日本メンタルドッグコーチ協会の代表理事、中西典子さん(54)=川崎市=。昨年6月に亡くなった愛犬のミニチュアシュナウザー「フーラ」の遺骨10個を預け、6個が10ミリ前後の真珠になった。形や色合いはさまざま。中西さんは、清水さんが母貝から取り出した真珠を手のひらに載せてもらうたびに、いとおしそうに指でなでていた。
 ウービィーの増田代表は「無事に真珠になってくれてほっとした。今後も悲しんでいる飼い主を、真珠葬で癒やすことができれば」と話した。

1年間海で育てたアコヤガイを海から引き揚げる(左から)清水さん、中西さん、増田さん=五島市奈留町

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