FIA-F2第12戦アブダビ レース1:好バトルの末に松下信治が2位表彰台を獲得。セッテ・カマラが2勝目

 11月30日、2019年FIA-F2の最終戦となる第12戦アブダビのフィーチャーレース(決勝レース1)が開催され、セルジオ・セッテ・カマラ(ダムス)が優勝し今シーズン2勝目。日本の松下信治(カーリン)は2位表彰台を獲得、佐藤万璃音(カンポス)は18位だった。

 約2ヶ月間のブランクを経てのレースとなるFIA-F2の最終戦。第11戦ロシアのソチでニック・デ・フリース(ART)がシリーズ王者を獲得したものの、来季以降のシート獲得やスーパーライセンスポイントの獲得に向けた戦いに注目が集まる。

 31周で行われる決勝レース1はシーズン唯一のナイトレースで、舞台となるヤスマリーナの気温は25.2度、路面温度27.8度のドライコンディション。一回のピットイン、スーパーソフトタイヤとソフトタイヤの使用が義務となる。

 29日(金)に行われた予選でポールポジションを獲得したのはセッテ・カマラ、2番手にカラム・アイロット(ザウバー・ジュニアチーム)、セカンドロウはカーリンの2台で3番手にルイ・デレトラズ、4番手にはソチでの大クラッシュから復活し勝利に燃える日本の松下。

 またシーズン覇者のデ・フリースは6番手、2020年シーズンをウィリアムズF1チームからレギュラードライバーとして出場することが決まったニコラス・ラティフィ(ダムス)は7番手、佐藤は15番手に。

FIA-F2第12戦アブダビ レース1 スタートシーン

 上位勢は松下のみソフトタイヤを選択し、現地時間の11:45にレースがスタート。ホールショットはデレトラズが奪い、後続に大きなトラブルもなく全車1周目を消化する。

 スーパーソフトタイヤの耐久性が芳しくないのか、松下は前を行く3番手のセッテ・カマラをピタリとマーク。4周目に松下は一気に2番手へ浮上、そして最終コーナー手前で首位デレトラズを捉えトップに立ち、翌周には後続に対し5.031秒ものマージンを形成した。

 6周目終了とともにタイヤ交換が可能になるため、スーパーソフトタイヤでスタートしたほぼ全車がソフトタイヤに交換すべくピットイン。一方の松下はタイヤをマネジメントしながらリードを広げるべくひた走る。

 各車安定してラップを重ねてきた矢先、マハービーラ・ラフーナサン(MPモータースポーツ)がエンジントラブルでストップし、9周目から10周目にかけてVSC(バーチャル・セーフティカー)が導入。この時点で首位の松下の5.625秒差後方に2番手のチョウ・グアンユー(ユニヴィルトゥオーシ)が続く。

 松下の実質的なライバルとなるデレトラズは16周目時点で暫定5番手の27秒後方につける。このまま終盤に突入すると松下のピットインで順位が逆転する可能性が浮上。だが差を詰めるべくプッシュしすぎるとライフがあっという間に無くなるタイヤ特性が頭脳戦に拍車をかけることに。

松下信治(カーリン)

 20周をすぎるとデレトラズのペースが落ち始め松下との差は31秒に。すると2番手のグアンユーが松下に迫り始めその差を3.990秒に詰める。松下のペースが落ちたように見えるも、勝利した第6戦オーストリアと第10戦イタリアで同様の展開を見せており、松下の腕に注目が集まる。

 そして松下とグアンユーが26周目に急接近し、ふたりの差は1秒を切る。松下は28周目、グアンユーは翌周目ピットインしタイヤを交換。これで首位は直前にバックストレートでデレトラズを抜いたセッテ・カマラ、松下とグアンユーは3番手、4番手でコースインすることに。

 ペースに苦しむデレトラズを松下は30周目に交わし2番手へ浮上、そのままフィニッシュし第10戦イタリアレース1以来の表彰台を獲得。優勝はセッテ・カマラで第6戦オーストリアレース2以来の2勝目を挙げた。

優勝したセルジオ・セッテ・カマラ(ダムス)
今シーズン5度目の表彰台となった松下信治(カーリン)

 3位にはファイナルラップでデレトラズを抜き去ったグアンユーが入り、また佐藤は18位で完走している。

 インタビューで松下は「セルジオ(セッテ・カマラ)がいい走りをしました。僕は序盤からタイヤマネジメントをしながら走り、2位という結果はよかったと思います」とコメントした。

 スプリントレース(決勝レース2)は日本時間12月1日(日)18:30から行われる。

■FIA-F2第12戦アブダビ 決勝レース1 リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap Start Pos.

1 5 S.セッテ・カマラ ダムス 31Laps 1

2 2 松下信治 カーリン 5.149 4

3 7 Z.グアンユー ユニ ヴィルトゥオーシ 7.765 5

4 1 L.デレトラズ カーリン 10.919 3

5 11 C.アイロット ザウバー・ジュニアチーム 15.981 2

6 8 L.ギオット ユニ ヴィルトゥオーシ 20.385 11

7 6 N.ラティフィ ダムス 25.785 7

8 20 G.アレジ トライデント 32.249 12

9 9 M.シューマッハー プレマ・レーシング 41.902 10

10 3 A.マルケロフ BWTアーデン 48.680 9

11 15 J,エイトケン カンポス 49.560 8

12 16 J.キング MPモータースポーツ 50.479 13

13 4 M.イサーキャン ザウバー・ジュニアチーム 53.455 6

14 21 C.ルンガー トライデント 53.963 18

15 12 M.イサーキャン ザウバー・ジュニアチーム 56.593 15

16 18 T.カルデロン BWTアーデン 58.602 19

17 10 S.ゲラエル プレマ・レーシング 1’02.900 17

18 14 佐藤万璃音 カンポス 1’37.470 16

— 22 A.マルケロフ BWTアーデン DNF 14

— 17 M.ラフーナサン MPモータースポーツ DNF 20

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