河北春秋(12/1):「会社を残すには元の会社を捨てなければな…

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 「会社を残すには元の会社を捨てなければならない。究極の選択でした」。4社が合併し、9月に新工場が開業した気仙沼市朝日町の「みらい造船」。木戸浦健歓社長(49)は、新たな道を探り始めた当時を振り返る▼同市浪板にあった4社は、東日本大震災で大きな被害に遭った。かさ上げが必要な現地で個々に再建するより、新天地に工場を構え合併で経営を強固にし、作業効率を高めた方がいい。高齢化にも対応できる。「頭では分かっていた」。だが、1910年創業の小鯖造船鉄工所をはじめ、みな歴史とプライドがあった▼決断の背景には、震災に加え時代の荒波がある。1年に13、14隻を新造していた1960年代と違い、震災前は1年1隻程度。葛藤を超え、4社は団結していく▼木戸浦社長は「100年先まで続く会社にしたい」と語る。「先輩にあの世で顔向けできない」という思いと「100年続くなら、と若者が目を向けてくれる」という思い。造船業継続への重くて熱い責任感がそこにある▼職人技術の共有はこれからの部分も。心配はしていない。「毎日、顔を合わせているから遠くない日に解決できる」。ラグビー日本代表はワールドカップ前に250日の合宿を行い「ワンチーム」になった。「一緒ですよ」と前を見据えた。(2019.12.1)