松下信治2位表彰台インタビュー:「2019年で一番の収穫はドライバーとして強くなったこと」/FIA-F2アブダビ

 FIA-F2再挑戦中の松下信治が、最終戦アブダビのレース1で2位表彰台を獲得した。しかし優勝したセルジオ・セッテカマラが選手権4位を確定し、F1スーパーライセンスに必要なポイントを確保した一方で、松下の同じ望みはこのレースで潰えてしまった。とはいえ松下自身は、「自分の持てる力を出しきれたレース」であり、「これまでで最高のシーズンを過ごせた」と、晴れ晴れとした表情で語った。

──スタートは、どんな感じでした?松下:周りはみんなオプションだったので、相対的に蹴り出しがよくなかった。僕自身、いつもよりちょっとホイールスピンさせ過ぎましたしね。

 それでひとつ順位を落としたんですけど、裏ストレートのブレーキングで抜き返しました。ブレーキには、自信がありましたから。その後はオプション勢のタイヤがすぐ垂れてきて、ピットに入って行った。そうやって僕がトップに立ってからは、できるだけタイヤを持たせる走りに専念しました。

 でもタイヤは、きつかったですね。フロントがすぐに厳しくなることはわかっていたんですが、予想よりもさらにきつかったです。それでもチームメイトより、それを予想したセットアップをしていたので、それがレース終盤の差になったと思います。

──レース前、チームと戦略について話し合った?松下:チームメイトがオプション→プライムで行くとわかっていたので、だったらその逆しかないなと。少しリスクはありますけど、セーフティカーとかのハプニングが起きなければ、チャンスはあるかと。

──オプションタイヤは、持ちが悪いことはわかっていた?松下:ええ。でも終盤は、意外に持ちましたね。なのでもっと早く交換してもよかったかもしれません。といっても、せいぜい1周ぐらいですけど。レース中の運転自体は特に悪くなかったし。いいレースができたと思います。

 ダムスは、やっぱり速かったですね。初日からずっと、いい仕上がりで来ていました。でも明日のスプリントのレース2は、十分勝負できると思います。

FIA-F2アブダビのレース1で2位表彰台を獲得した松下信治

■シーズン序盤は苦戦も「中盤後半からは、流れも良くなった」

──シーズンを通してずっと、セッテカマラの前に出たいと言い続けてきましたが、残念ながらそれは叶いませんでした。松下:そうですね。トラブルや不運もありましたけど、僕自身タイヤマネージメントに関して実力不足でした。でもシーズン最後の方は、互角か以上の勝負ができていたと思います。それは、よかったです。今年強かったダムスに、今日もここまでの戦いができましたし。

──今日のレースは、力を出し切ったと思える?松下:自分の持ってるものは、しっかり出せたと思います。

──2020年に関しては?松下:まだわかりませんけど、頑張ります。状況的には厳しいですけど、最後まであきらめるつもりはありません。どうなるかわかりませんけど、最後まで僕らしく頑張りますよ。

──この1年は、自分の中ではどんなシーズンでした?松下:今までで、一番いい1年でした。何かを勝ち取ったというよりは、なんと言うか今までの自分になかったもの、足りなかったものを得ることができた。ドライバーとして強くなったというのが、一番の収穫かもしれません。

──シーズン前半はなかなか結果が出なくて、悔しい思いをしたんじゃないかと思うけど。松下:でも自分のミスもありましたし。それが中盤後半からは、流れも良くなった。何勝も出来ましたし。明日のレースでも、7番グリッドからどこまで上に行けるかで、強さを見せられると思います。

 ホンダの人たちもそんな戦いぶりを見てくれてるでしょうから、そこからまた新たに話し合いたいと思います。

左:松下信治(カーリン)、中央:セルジオ・セッテ・カマラ(ダムス)、右:チョウ・グアンユー(ユニヴィルトゥオーシ)ー

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