県民会館、57年の歴史に幕

運営33年間・高橋館長、観客の喜び原動力

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思い出を振り返り、客席からステージを見つめる高橋利雄館長=県民会館

 新しい会館の建設に伴い山形市の県民会館(やまぎんホール)が30日、57年の歴史に幕を下ろした。「人生の活力を最大限にもらってきた。感謝しかない」。長年、運営を支えてきた館長の高橋利雄さん(68)=同市=は来春で退職する自身の歩みに重ね、役目を終える文化施設への思いを語った。

 高橋さんは高校卒業後、東京の音響関係の専門学校に進学し、制作会社勤務を経て35歳で帰郷した。県民会館の音響技師に県職員として採用され、企画にも携わるようになった。2009年には、「ここでノウハウを生かしてやっていきたい」と定年を前に県職員を辞め、指定管理者のステージアンサンブル東北に入社。12年から館長を担当し、会館運営には33年間携わった。

 幅広い人に楽しんでもらうため、ロックに演歌、クラシックなど多彩なジャンルの舞台を企画した。最も印象に残っているのは1997年に開催した盲目のソウル歌手、故レイ・チャールズさんのコンサートだ。国内11カ所のツアーで、「まさか山形に来てくれるとは。地方の熱意に応えてくれ、努力すればできるんだと自信が持てた」。観客の喜びが何よりの原動力だった。

 フォーク全盛期だった高校時代、地下の小ホールで自身のライブを開いた思い出もある。客席からあらためてステージを眺めた。「普通だったらできない経験をたくさんさせてもらえた。本当に幸せな時間だった」。閉じたまぶたには、数え切れないほどの素晴らしい場面が映し出されているようだった。

ユニコーンの熱狂、ラストを飾る  最終日の大トリを飾ったのはロックバンド「ユニコーン」だった。リーダーのABEDON(アベドン)(山形市出身)らメンバーによる思いを込めた演奏で会場は熱狂。人気バンドのステージは、ファンにとっては大きなプレゼントとなった。

 「ユニコーン100周年ツアー“百が如く”」の一貫。山形公演は29、30の2日間で、立見を含め満員の観客が会場を埋めた。

 最後の曲を終えると、ABEDONが客席後方から登場した。「県民会館の最後を飾る夢がかなった。この人がいたおかげ」と、音響台の上へ手を引いたのが高橋利雄館長。会場は感謝の拍手に包まれた。

 メンバーもそれぞれ思いを語り、奥田民生さんは「思い出はいろいろあるけれど、今日が一番。心に残る日になった」。ユニコーンがこれまで県民会館で行った公演写真も映し出され、最後はステージ上にありがとうの文字が掲げられた。