このところ苦しいシーズンが何年も続いているマンチェスター・ユナイテッド。かつて長く指揮を執っていたアレックス・ファーガソン監督の偉大さを改めて感じられる状況となっている。
『Planet Football』は、そのファーガソン監督がマンチェスター・ユナイテッドで獲得した最後の20選手を格付けした。そのベスト5とワースト5をピックアップしよう。
▽ベスト5
5位:アントニオ・バレンシア
マンチェスター・ユナイテッド所属:2009~2019年
バレンシアが2009年にウィガン・アスレティックからやってきたとき、彼はクリスティアーノ・ロナウドが抜けた穴を埋めるウインガーとして期待された。
2012年に与えられた7番を1年で返上するなど、彼はそのプレッシャーに苦しめられたところはあったものの、それから徐々に自分のスタイルを確立していった。
マンチェスター・ユナイテッドでの10年間で多くのタイトルを獲得。サイドバックとしてもプレーし、クラブに大きな貢献をした。
4位:ディミータル・ベルバトフ
マンチェスター・ユナイテッド所属:2008~2012年
2008年の移籍マーケット最終日、マンチェスター・シティと交渉を進めていたベルバトフ。しかしファーガソン監督は空港で彼と会談をし、土壇場で横取りに成功した。
その選択は間違いなく成功だった。ファーガソンにとって最も高価な買い物ではあったが、多くの記憶に残る瞬間を生み出した。
一方でその怠惰にも見えるプレースタイルがファンから批判を受けることもあったが、149試合で56ゴールを叩き出した。あまりにクールな彼のプレーはユナイテッドのキャラクターを変えるような影響力を持っていた。
3位:ハビエル・エルナンデス(チチャリート)
マンチェスター・ユナイテッド所属:2010~2015年
ベベなどがやってきた2009年の夏、ファーガソンの神通力は掻き消えてしまったかに思えた。しかし次の年にはハビエル・エルナンデスを素晴らしい形で手に入れた。
夏が訪れる前に交渉を完了させ、ワールドカップで名を上げた彼をわずか700万ポンドで獲得することができたのだ。
スーパーサブとして多大な影響力を見せた彼は、デビューシーズンで20点を奪う活躍を見せる。ただ、ファーガソンの勇退が彼の立場を悪化させ、2015年にチームを去ることに。
2位:ロビン・ファン・ペルシー
マンチェスター・ユナイテッド所属:2012~2015年
2012年にわずかな差でリーグタイトルを逃したユナイテッド。ファーガソンはリベンジを近い、アーセナルで長く活躍していたファン・ペルシーを引き抜くという強烈な選択をした。
彼はオールド・トラッフォードで3シーズンを過ごし、多くのゴールを奪った。2年連続での得点王に輝き、タイトルに大きな貢献をしている。アストン・ヴィラ戦でのハットトリックは特別なハイライトだった。
3年目には多くの負傷に苦しめられたことから低迷し、その後フェネルバフチェに移籍した。
1位:ダビド・デ・ヘア
マンチェスター・ユナイテッド所属:2011年~
2011年にアトレティコ・マドリーから獲得された。エドウィン・ファン・デル・サールの後釜としてやってきたが、最初は空中戦の多さに適応できずに苦戦する。
しかしファーガソンは彼の才能を信じ、その期待に答えたデ・ヘアは成長。1年目の終盤からそのポテンシャルの高さを発揮し始めた。
29歳になった彼は今世界でも最高クラスのゴールキーパーとして名を馳せており、ファーガソン監督が獲得した選手の中でも最も重要な男になった。
▽ワースト5
5位:ベベ
マンチェスター・ユナイテッド所属:2010~2014年
ベベはマンチェスター・ユナイテッドでアレックス・ファーガソン氏が獲得した選手の中で「最も奇妙な人物」だったと評価されている。2010年、全くプレーを見たことがないベベを獲得した。片腕のカルロス・ケイロスが推薦したためだそう。
かつてリスボンの孤児院で生活していた彼は、その数年後に世界最大のクラブでプレーすることになった。
ただ当然ながらもそのポテンシャルはユナイテッドで開花することなく、2014年にベンフィカへと放出されるまで7試合しか使われなかった。結局溢れんばかりの才能は今も半分眠っている。
4位:マメ・ビラム・ディウフ
マンチェスター・ユナイテッド所属:2009~2012年
ユナイテッドは2009年、ノルウェーのクラブであるモルデでプレーしていた若きFWマメ・ビラム・ディウフと契約した。「新しいスールシャール」になってくれることを期待してだ。
ディウフはホームでのデビュー戦でゴールを奪ったものの、結局マンチェスター・ユナイテッドではその1得点しか決めておらず、5試合の出場のみに終わった。
2014年からはストーク・シティで長くプレーしているが、今のところスーパーサブとしてブレイクする気配はない。
3位:ホドリゴ・ポッセボン
マンチェスター・ユナイテッド所属:2008~2010年
ブラジルの名門クラブであるインテルナシオナウから300万ポンドで獲得されたイタリア系ブラジル人。マンチェスター・ユナイテッドのスカウトはファビオ・ダ・シウヴァとラファエウ・ダ・シウヴァの兄弟とともに彼をチェックし、19歳で引き抜いた。
オールド・トラッフォードでのデビューはなかなか有望であったが、ミドルズブラとの試合でポガテツのタックルから重傷を負い、キャリアを台無しにしてしまった。
ユナイテッドを退団してからはまともに出場できるシーズンのほうが少なく、現在はブラジルの下部リーグでプレーしている状況となっている。
2位:アンジェロ・エンリケス
マンチェスター・ユナイテッド所属:2012~2015年
2009年にマンチェスター・ユナイテッドのトライアルを受け、ウニベルシダ・デ・チリでデビューした1年後にイングランドへとやってきたFW。
その後いくつかのクラブへローンを経験。そこでは活躍を見せたがユナイテッドでの評価は高まらず、2014年に貸し出されたディナモ・ザグレブに完全移籍した。
結局マンチェスター・ユナイテッドでは1試合も出場しないまま3シーズンのキャリアを終えている。現在は古巣ウニベルシダ・デ・チリに所属。
1位:ゾラン・トシッチ
マンチェスター・ユナイテッド所属:2009~2010年
700万ポンドという価格で2009年1月にマンチェスター・ユナイテッドへとやってきたトシッチ。高いテクニックを持つセルビア人アタッカーであったが、プレミアにはなかなか馴染めなかった。
「トップチームにすぐ入ったが、レベルが非常に高く別のスポーツのように感じた。最初の数週間はとてもヘビーなもので、ボールは非常に速く動き、誰も失わない。僕を除いてだ」
と後にトシッチは話した。彼自身「ベストを尽くしたが僕が知っているサッカーではなかった」と全くフィットできなかったことを認めており、ファーガソンにとっては全く見込み違いのサインであった。