藤井フミヤ『君たちの青春時代を思い出しながら聴いてください!』ソロ初のライブハウス・ツアー開催!

藤井フミヤが11月30日(土)に東京・豊洲PITにてライブを開催した。これは11月2日の仙台PITを皮切りに始まった藤井フミヤのソロでは初めての7都市16公演のライブハウス・ツアーの一環。大坂、札幌、広島、福岡での公演を経て、ツアーの折り返し点であり東京の初日だ。

18時の定刻になり、オープニングSEが会場内に響き渡る中、メンバーがゆっくりとステージに登場。フミヤの『Hello!』をきっかけに、ずっしりとした重量感のあるサウンドが一斉に火を吹きパフォーマンスがスタート。

ツアーに帯同するKOOL HEAT BEAT CLUB BANDは、これまで数々のライブやレコーディングに参加し、今やフミヤの盟友でもある有賀啓雄(バンドマスター/ベース)とドラムの屋敷豪太、キーボードの斎藤有太に加え、大儀見元(パーカッション)、真壁陽平(ギター)の5人編成。有賀啓雄と屋敷豪太のリズム隊が重厚でタフなリズムを刻み、斎藤のキーボード、真壁のギターに大儀見のパーカッションが重なっていく。時には静かに淡々と、時には凄まじいまでの破壊力をもった轟音、時にグルーヴ感全開で会場を横に揺らす。緩急自在に演奏するのは豪腕揃いのメンバーだからこそなせる技。そんな安定感をもったバンドと共に、低音からファルセットまで、実に気持ちよさそうに、かつ楽しそうに歌うフミヤが印象的であった。全幅の信頼を置いている姿勢がステージから伝わった。

自身のコンサートはホール開催が多いフミヤにとってライブハウス・ツアーはソロになって初めて。ファンにとっても座席がないオール・スタンディングスタイルは慣れない環境だ。これには『みんなの足腰を鍛える私からの愛情に過ぎません!』とライブハウス開催に至った経緯を話し場内を和ませる。

この日のセットリストは、デビュー・アルバムに収録された「TRUE LOVE」や「女神(エロス)」から、7月にリリースされた22枚目のアルバム「フジイロック」収録曲までと、まさに藤井フミヤ・ソロワークスの集大成。またキーボードの斎藤有太が書いた「同じ雨」や、有賀啓雄との共作曲「Endless Snow」といった2006に結成したTHE RAWGUNSのナンバー、屋敷豪太と共作した「Crystal Blood(EQUAL/2002収録)」と、KOOL HEAT BEAT CLUB BANDのメンバーが関わった曲も披露され、バンドとの結束の固さを窺わせる。

さらに『君たちの青春時代を思い出しながら聴いてください!』と「ミセス マーメイド」を始め次々と畳み込まれるチェッカーズ・ナンバーに会場から悲鳴にも歓声が上がり続ける。中には涙ぐむお客さんもいるほどで、場内はこれ以上にないぐらいの大盛り上がり、このリアクションにフミヤも大奮闘して応える。一連のバンド時代ナンバーを歌い終え、エキサイトした会場を見回しながら『(フ~っと一息つけ)若い頃の歌は疲れるな』とつぶやいて、会場からさらなる喝采を浴びていた。

この日のパフォーマンスは、ロック、ソウルにファンク、R&Bと様々なサウンドに彩られたが、全編を通して根底に刻まれていたのは"ROCK"のスピリットだ。オープニングBGMにはザ・ストラングラーズの「96 TEARS」、クロージングにはザ・クラッシュの「Rudie Can't Fail」が流されていた。いずれも70年に勃発したパンク・ムーヴメントを支えた英国のバンドだ。この選曲こそが、藤井フミヤのこのツアーにかける矜持であろう。

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