UKオールスターズ「バンド・エイド」で締めくくられた1984年のクリスマス 1984年 12月3日 バンド・エイドのシングル「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」がリリースされた日

「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」英国の音楽シーンのオールスター総勢約40名がボランティアで参加

1980年代のクリスマスソングを語る上で、この曲を外すわけにはいかないだろう。バンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」だ。もっとも、この曲はボブ・ゲルドフ(ザ・ブームタウン・ラッツ)がエチオピア飢饉救済のためにミッジ・ユーロ(ウルトラヴォックス)と共に書いたもので、決してクリスマスを祝う曲ではない。

この曲は84年11月25日にロンドンでレコーディングされ、わずか8日後にリリースされたが、当時の英国の音楽シーンのオールスターとも言える豪華メンバーが集合していた。ドラムスがフィル・コリンズ(ジェネシス)、ベースはジョン・テイラー(デュラン・デュラン)、キーボードはミッジ・ユーロで、ボーカルは登場順にポール・ヤング、ボーイ・ジョージ(カルチャー・クラブ)、ジョージ・マイケル(ワム!)、サイモン・ル・ボン(デュラン・デュラン)、スティング(ポリス)、ボノ(U2)といった具合で、コーラスを含めて総勢約40名がボランティアで参加した。

ダサかっこいいフィル・コリンズのドラムと、ボノのシャウト、ボーイ・ジョージの導入が印象深いオリジナルバージョン

ところで、僕がこの曲を思い出す時、特に印象に残っている箇所が3つある。

① まず何と言ってもフィル・コリンズのドラムである。彼はソロアーティストとしてあまりにも成功したためにドラマーだということが忘れられがちだが、僕はボーカリストとしての彼よりドラマーとしての彼の方が好きだ。フィリップ・ベイリーとデュエットした「イージー・ラヴァー」やエリック・クラプトン&フレンズのツアーメンバーとして参加した時にも見られたが、彼の “ダサかっこいい” ドラムはこの曲になくてはならないと思う。

② 最初のコーラスが始まる直前にボノが「Well, tonight thank God it's them instead of you」とシャウトしているが、よく考えたら「飢餓の犠牲者が君ではなくエチオピアの人々だったことを神に感謝しよう」と歌っているのだから、何と酷い歌詞なのか(もちろん何らかの意図があるのだろう)。ただ、当時U2はまだ世界的なバンドではなかったし、この印象的なパートをボノが任されたのは、彼らにとってラッキーだったとも言える。

③ ボノのシャウトからしばらくして「The greatest gift they'll get this year is life」のコーラスの後に、ボーイ・ジョージの独特な鼻にかかった声で「Ooh~」と入るのもとても印象的だ。ただ、彼のボーカルだけ他の人よりエコーが深くかけられているような...

この曲はその後何度かリメイクされているが、何回聴いても僕はこのオリジナルバージョンの方が好きだ。それは僕が古い世代の人間だからだろうか。

Song Data
■ Do They Know It's Christmas? / Band Aid
■ 作詞・作曲:Bob Geldof, Midge Ure
■ プロデュース:Midge Ure, Trevor Horn(12inch and 1985reissue)
■ 発売:1984年12月3日

Billboard Chart
■ Do They Know It's Christmas? / Band Aid(1985年1月19日 全米13位)
■ Easy Lover / Philip Bailey With Phil Collins(1985年2月2日 全米2位)

Official Charts
■ Do They Know It's Christmas? / Band Aid(1984年12月15日 全英1位)

※2016年12月25日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 中川肇

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