『ルパン三世 THE FIRST』 令和版「カリオストロの城」と呼びたい!

(C)モンキー・パンチ/2019映画「ルパン三世」製作委員会

 シリーズ初となる3DのCGアニメだ。初代ルパンが唯一盗むことに失敗した秘宝“ブレッソン・ダイアリー”を巡って秘密組織との争奪戦が繰り広げられる。そのカギを握るのが、考古学好きの美少女レティシアで…。『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『永遠の0』のヒットメーカー・山崎貴が監督&脚本を手掛けている。

 広瀬すずが声を演じるレティシアには、詳しくは書けないが明らかに、シリーズ屈指の名作『カリオストロの城』のヒロイン・クラリスの面影がある。秘密組織の移動するアジトも『死の翼アルバトロス』や『未来少年コナン』のギガントなど宮崎駿が好むずんぐりした飛行艇に似ているし、クライマックスに登場する重力を操る“目玉”は『天空の城ラピュタ』の飛行石…とルパン・シリーズだけでなく宮崎アニメ全般へのオマージュに満ちている。

 それにしても山崎監督は、時間や人の歴史を使って泣かせるのがうまい。『永遠の0』では、「受け継ぐ」という映画の重要なテーマを物が手渡される行為によって見事に視覚化してみせ、主人公の幼い娘にキャンディーが手渡されるシーンでは遂に涙腺が決壊してしまった。今回もレティシアと考古学のエピソードは、ルパンの泥棒の才能とも呼応して感涙必至である。最初はCGルパンに違和感を覚えるかもしれないが、慣れてしまえば後は引き込まれるばかり。令和版『カリオストロの城』と呼びたくなる! ★★★★★(外山真也)

監督・脚本:山崎貴

声の出演:栗田貫一、広瀬すず、吉田鋼太郎、藤原竜也

12月6日(金)から全国公開

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