ハミルトン、フェラーリF1からの関心を喜ぶ。ウォルフもライバルチームとの話し合いを許容

 メルセデスF1チーム代表トト・ウォルフは、ルイス・ハミルトンがフェラーリ移籍の選択を検討しても阻止はしないということだが、一方でスタードライバーであるハミルトンが2020年以降もメルセデスに留まることを確信している。

 ハミルトンとメルセデスが完了するのは来シーズン末だが、F1では「2021年に誰がどのチームへ行くか」の駆け引きがすでに始まっている。

 イタリアの『Gazzetta dello Sport』によると、フェラーリ会長を務めるジョン・エルカーンは今年の早い時期からハミルトンへの接触を開始し、6度のF1世界チャンピオンである彼がフリーエージェントになったあかつきには契約を結びたいと、関心を表明していたという。

 金曜日にヤス・マリーナで行なわれたチーム代表記者会見で、フェラーリF1チーム代表のマッティア・ビノットは、ハミルトンが2021年からチームに加入できるのなら「フェラーリにとっては喜ばしい事態だ」と語り、ハミルトンをフェラーリに誘う可能性があることを示唆した。

 ビノットのコメントに反応したハミルトンは、思い出せる限りでは、これはこの13年間で初めてフェラーリから受けた賛辞だと語った。

「正直なところ、彼らがこれまで僕について言及したことなど記憶にないくらいだ。だからありがたく受け止めるよ。でもあまり深い意味はないだろうね。ただの話だよ」とハミルトンはアブダビで語った。

「ようやく、何年も経ってから彼(ビノット)は僕に気づいたみたいだけど、それでも僕は嬉しいよ」

「とても長い時間が経った。そしてフェラーリは僕が長年常に称賛してきたチームだ。だから彼らの尊敬を、明らかにチームのトップにいる人から勝ち得ることができたことは、悪い気持ちはしないね」

「彼らにはふたりの優れたドライバーがいるから、ドライバー市場が来年にかけてどうなるかは誰にも分からない」

 離れたところから見る限り、ウォルフは現在は受け身の姿勢をとっており、彼のドライバーがメルセデスの最大のライバルチームと話をすることになんら問題はないと主張している。

「私はまったく問題ない思っている」とウォルフは認めた。

「ここは自由な世界であり、誰もがキャリアの選択肢を探求し、自分自身のために最高の選択をする必要がある。ドライバーも、他の者も含めてだ」

 ハミルトンの将来や、フェラーリがハミルトンと会話をしていることについて、ウォルフは超然としているように見える。それは、おそらく彼にはメルセデスは成功を求め続け、あらゆる手段をつくして偉大なチャンピオンに最高の設備と組織を提供していくという信念があるからだろう。

「私はこの状況を楽観視している」とウォルフは付け加えた。

「我々はできる限り最速のマシンをドライバーに提供するために、非常に激しくプッシュする必要があるのだ」

「そして、そうしたことができていれば、我々のマシンには望む限り最高のドライバーラインアップがつくことを100パーセント確信している」

「そしてすべての要素が、我々と(ハミルトンとの)関係が継続することを指し示している。だが人生には何が起きるか分からない。したがって前にも言ったように、私はこの件には非常に柔軟でいる」

「まず誰もが目標を持ち、キャリアにおける最高のチャンスを掴む必要があるという事実を受け入れることから始めよう」

「その点で、私は皆が選択肢を検討することについて完全にオープンでいる。とはいえ、当然ながら私個人のチームに向けた優先事項は、成功の旅路を(ハミルトンと)続けることにある」

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