カレンダーの日に

 1872(明治5)年の12月は、1日と2日のたった2日間しかなかったという。政府は旧暦に代わって、今の新暦(太陽暦)を用いると決め、その年の旧暦12月3日は、新暦の明治6年1月1日になった▲布告から改暦まで1カ月もなく、世の中、騒然としたに違いない。師走に入って間もないのに「明けましておめでとう」とも言いづらかったろう▲財政難の折、公務員への給与の支払いを1カ月分、浮かせたりと“コスト削減”も狙ったらしい。印刷済みの翌年の暦が無駄になり、業者は大いに嘆いたという▲改暦の日にちなんで、きょうは「カレンダーの日」。職場に掛けてある月めくりの暦は1枚きりになった。昨年末、まだ表紙が付いていた時にざっと見ると、5月1日の天皇の「即位の日」も、その前後も、祝日や休日を示す赤色ではなかったのを思い出す▲10連休と決まったのは昨年の今頃で、もちろん暦に「令和」の文字はない。印刷後にいろいろ定められたカレンダーにしばらく目を留め、一枚一枚めくった月日を思う▲今年の「新語・流行語大賞」の年間大賞に、ラグビー・ワールドカップ日本代表のスローガン「ワンチーム」が選ばれた。災禍に覆われる中、選手一丸の快進撃に日本全体、胸を熱くしたのは忘れがたく、「めくった月日」を心に刻む。(徹)

© 株式会社長崎新聞社