昭和レトロが醸す高級感

山形・文昇堂印刷が新ラベル、きょうから受注開始

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「昭和レトロラベル」の製品(左)と、昭和30年代前後に作ったラベルを持つ文昇堂印刷の渡辺正昭社長

 文昇堂印刷(山形市、渡辺正昭社長)は3日から、昭和時代の活版印刷技術を使って、レトロ感あふれるラベル(シール)「昭和レトロラベル」の受注を始める。当時の印刷機に現代の技術を加え、立体感とラベル縁の輪郭線を再現することに成功。令和に入り昭和レトロに注目が集まる中、昭和の風合いが逆に高級感を醸し出す。

 同社は昭和初期に創業し渡辺社長が3代目。戦後に東北で最も早くラベル印刷機を導入し、今は事務用印刷や商業印刷も手掛けている。今回、事業拡大策を相談していた市売上増進支援センター「Y―biz(ワイビズ)」に促され、自社の歴史を調べたところ、昭和30年代前後に作られたラベルを発見。百貨店や商店で包装紙を貼り付ける「止め」や封かんに使われたラベルだった。

 往時のラベルは平圧活版印刷技術で作られ、凹凸があり立体感を表現できた。当時は印刷機の性能が悪く、ずれを防ぐため版と刃型が一体化していたことから、刃型にインキが付きラベル縁に輪郭線が残ったという。デジタル化した今の印刷機では出せない風合いや昭和を感じさせるインキの色みが、渡辺社長の目に「現在のラベルにない魅力」と写り、新ブランドとして復刻することにした。

 同社は刃型製造会社と協力して新技術を開発。3カ月にわたって試行錯誤し、当時の雰囲気を再現する方法を確立した。版の材質や製造方法には現代技術を使い、安価に抑えた。百貨店や商店からの注文に加え、紙製のためプラスチック系テープの代替品としての需要、封筒などの封かんとしてのニーズも見込む。業界から失われた職人技術や昭和文化の伝承も目指す。

 既に、ワイビズ利用企業による「山形三ツ星カツサンド」のふた止めに使われている。製造方法は特許出願中。渡辺社長は「人間味があり、見るだけでなく触りたくなるラベル。海外での事業展開も検討する」とした。基本料金は2万円からで他に紙代や印刷代、デザイン料が必要。問い合わせは同社023(686)5105。