常盤貴子流笑いの〝魔球〟 エッセー集を出版 ラジオで読みどころを披露

 この春の連続ドラマ「グッドワイフ」で主婦役を好演し、女性の支持を集めた女優、常盤貴子さんが、来年1月から放送予定のドラマ「贋作(がんさく)男はつらいよ」で風来坊の主人公、寅さんの妹さくらを演じる。まさに旬の女優が、全国の新聞で連載中のエッセーを本にした。出版報告のラジオ番組で常盤さんは、エッセーの中身そのままに笑い必至の〝常盤節〟を披露している。

常盤貴子さん

 「まばたきのおもひで」は、常盤さんが日々の暮らしの中にひっそりとある「面白いこと」の原石を見つけ出し、説き起こすエッセーだ。全国の地方新聞の連載は6年目のロングランになっている。

 10~11月に放送された「TOKYO FM」と「ジャパンエフエムネットワーク」のラジオ番組で常盤さんは、エッセー用のイラストを描いた人気美術作家、鈴木康広さんと対談した。

「まばたきのおもひで」の表紙

 日常観察の中で、トラブルに遭っても「『面白い!またネタができるぞ』とわくわくするようになった」とほくそ笑む常盤さん。大の高校野球好きらしく、読み手をのけぞらせる笑いのストライクゾーンのエッセーを次々と投じる。「常盤さんの文章は(唯一の)答えを伝えたいのでなく、『どっちかなあ』という風に解き放っている」と評する鈴木さんにとって、投げ掛けられるのはたぶん〝魔球〟だ。ただ無心に打ち返すようにイラストを完成させる鈴木さん。そして、常盤さんはイラストを目にしてつぶやくのだという。―「わたしが言いたいのはこういうことだったんだ!」。ツッコミをしてボケてみて、さすが関西育ちスターの面目躍如だ。

 本に収められた約50のエッセーのうち、例えば「自己紹介は嫌いです」と題する作品では、「『私の名前は常盤貴子です。性格は明るくて、少しおっちょこちょいです。みなさん仲良くしてください』。嘘。ウソ」と宣言。読み進めればその理由が分かるのだが、さらに女性のしたたかな、驚くべき極秘戦術も絡んでいることが明かされる。

「JFN PARK」で対談した常盤貴子さん(右)と鈴木康広さん(提供:JFN PARK)

 ほかに、外国人との楽しいやりとりを紹介した「気配で会話」、携帯電話を水没させた経験をつづった「雨降り吉日」など、「トレンディードラマの女王」と称されたスターの実体験に基づく、しみじみ笑えるエッセーの目白押し。

 ラジオで常盤さんは「読者の方の頭の中で何か完成したらいいなあ」と語る。「一緒に日常を面白がりましょう」といういざないは、本でラジオで新聞で、もしかしたらドラマでも発信中だ。

 対談は、ラジオ番組「キュレーターズ」(https://www.tfm.co.jp/curators/index.php

)と「JFN PARK」https://park.gsj.mobi/program/show/47067

の各ホームページで聴くことができる。(共同通信=小池真一)

© 一般社団法人共同通信社