なぜバルセロナは最強なのか――明かされる「強さの秘密」

サッカーの歴史上もっとも輝いていたあの時代、あのチーム、あの選手の真実がいま明かされる――。

黄金期と呼ばれるジョゼップ・グアルディオラ監督時代を中心に、バルセロナの強さの秘密に迫るドキュメンタリー映画の決定版『ボールを奪え パスを出せ/FCバルセロナ最強の証』がDVDとして12月3日(火)に満を持して発売されます。

それに先がけ、11月23日(祝・土)に吹替版の特別無料試写会イベントが開催されました。

舞台挨拶として熱狂的なバルセロナ・ファンとして知られる歌手の小柳ルミ子さん、サッカー解説者で元日本代表の川勝良一さん、そして、スポーツ専門チャンネル「J SPORTS」のプロデューサー菅原慎吾さんが登壇。

各々がサッカー愛あふれるスピーチをされていたので、映画の内容とともに簡単にレポートしてみたいと思います。

伝説からはや10年。見えてくるものは?

サッカー史上最強のチームはどこか?

サッカー好きならばいちどは考えるであろう永遠のテーマですが、さまざまな議論のあるなか、まっさきにグアルディオラ監督時代のバルセロナを思い浮かべる人は多いはず。

2008年~2012年の4シーズンで、リーグ優勝3回、UEFAチャンピオンズ・リーグ優勝2回、クラブ・ワールドカップ優勝2回、とタイトルを総なめ。その圧倒的な成績とともに、エンターテインメント性でも他の追随を許さなかった最強チームは、今なおサッカーのお手本として参照されつづけています。

本作、『ボールを奪え パスを出せ/FCバルセロナ最強の証』は、そんな黄金期のバルセロナの真実を選手・監督・関係者の嘘偽りのない証言を通して明らかにした貴重なドキュメンタリー作品になっています。

プロレスさながらの舌戦をくりひろげたモウリーニョへの敵愾心をむき出しにするグアルディオラ監督の姿や、ロナウジーニョとの不仲をにおわせるエトーの発言など、赤裸々に明かされる舞台裏の人間模様もその大きな見どころ。

サッカーファンにもお馴染みになった歌手の小柳ルミ子さん

2009年チャンピオンズリーグ準決勝のチェルシー戦で決めたイニエスタの伝説のミドルシュートや、18日間に四度ものクラシコが開催された当時の狂騒を貴重な映像とともにあらためて振り返ると、長いサッカーの歴史のなかでも最高に輝いてい た時代だったのかもしれない、と感慨もひとしおです。

そしてまた、肝移植手術からわずか2カ月でチャンピオンズリーグ決勝の舞台で先発出場をはたしたアビダルの復活劇もとてつもない偉業だったのだと、胸に熱い思いがこみ上げずにはいられません。

これまでも、ヨハン・クライフを擁したバルセロナ、アリゴ・サッキの率いたACミラン、「銀河系軍団」と称えられるドリームチームだったレアル・マドリーなど、時代を象徴するチームが存在してきましたが、ピッチ内外の出来事もふくめ、グアルディオラ期のバルセロナほどドラマティックな物語性を持っていたチームは他に二つとないでしょう。

モウリーニョがバルセロナを率いていたもう一つの世界と、バルセロナの未来

最強期のバルセロナについて記述するときに、絶対に避けては通れないのが、ジョセ・モウリーニョ監督の存在です。

一般的にはバルサイズムと対極に位置する人物として語られることが多く、「アンチフットボール」とまで揶揄されたモウリーニョですが、サッカーファンの間ではよく知られるように彼の指導者としての出発点はバルセロナにあります。

本作では、ボビー・ロブソンの通訳、ルイス・ファン・ハールのアシスタントコーチを務めていた頃のモウリーニョが、誰よりもバルセロナの歴史、哲学、戦術について知り尽くしていたことを、当時の選手たちが口々に語っています。

サッカー解説者で元日本代表の川勝良一さん

さらには、フランク・ライカールト監督の後任候補としてグアルディオラとともに選出され、バルセロナでのモウリーニョ政権が誕生する可能性がかなり高かったことも明らかにされています。

最終的にトップチーム監督に抜擢されたグアルディオラ監督の躍進ぶりは、周知のとおりですが、もし就任していたのが彼ではなくモウリーニョだったなら――などと、あり得たかもしれないもう一つの世界をあれこれと想像したくなってしまいますが、『ボールを奪えパスを出せ/FCバルセロナ最強の証』では、チャビが監督として帰還するバルセロナの大きな未来が予見されています。

胸の高鳴りがとまらなくなる激熱の展開なので、ぜひその目で確認してみてください。

最強のサッカー教材として監督、コーチ、サッカーキッズも必見!

FCバルセロナ史上最強期の真実とともに、少年だったメッシがクラブによって見出されその素質を開花させていったプロセスについても、カンテラ時代の関係者たちによって詳細に語られている本作。

年間で2000試合を観戦するという、サッカー通の小柳ルミ子さんも「サッカーを愛する人には全部、一言一句、すべてを見てほしい。何しろペップ(グアルディオラの愛称)のあれだけの細かい戦術。メッシがあそこまでいったのはペップのおかげ」と熱弁されていたように、グアルディオラ監督との出会いが、メッシの秘めていた特大の才能に大きなシナジーをもたらしたことは間違いないでしょう。

特別な資質を持ちながら、よい指導者とめぐりあうことができず、埋没していった数多の天才たちに想いを馳せると、メッシとグアルディオラの出会いは一つの奇跡であり、運命的なものであったのだと感じずにはいられません。

「J SPORTS」のプロデューサー、菅原慎吾さん

優れた指導法のノウハウに関しては、イベントで菅原慎吾さんが「Jリーグのチームの監督は良いものを見せようという意識はどれくらいあるのですか?」という疑問を投げかけたように、日本サッカーの大きな課題となっています。

川勝良一さんが「できるだけ小さいうちに良いものを観た方がいい。サッカーも世界のトップレベルを最初に観た方がいいです。頭が発達するんです。子供が真似したくなるだけの価値が(この映画には)あります。」と本作を推奨されたように、選手育成の大きなヒントがつまった内容になっているので、バルセロナ・ファンはもちろんのこと、監督やコーチを目指している方や、サッカー少年とその親御さんにも声を大にしておススメしたい作品です!

『ボールを奪え パスを出せ/FCバルセロナ最強の証(あかし)』
12月3日(火)発売 DVD:4,800円(税抜)
発売元:メディアネット ピクチャーズ 販売元:ハピネット・メディアマーケティング
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