成田凌が「カツベン!」で映画初主演!! 「周防監督の作品には、あまり知らなかった世界を見せてくれる楽しさがある」

成田凌が「カツベン!」で映画初主演!! 「周防監督の作品には、あまり知らなかった世界を見せてくれる楽しさがある」

周防正行監督の最新作「カツベン!」で、映画初主演を果たした成田凌に、活動弁士という役どころや撮影秘話、現在の心境などについて聞いた。

──活動弁士役を演じるためにどのような準備をしましたか?

「活動弁士として活躍されている坂本頼光さんから毎日3時間ほど教えていただきました。真夏の期間に涼しいところで練習できたのはよかったのですが、うまくできなかった最初の2カ月くらいはつらかったですね。普段から割と声が大きくないうえに、昔の木造の建物は音が響かないんです。こんなに声が響かないものなんだ、まずいな…と思っていたら、外にいた人が“すごく聞こえたよ”と言ってくれて、安心したこともありました。練習をするうちに、ふとしたときに自分のアイデアみたいなものがふわっと出てきて、そこからは楽しめるようになったんです」

──自分らしいリズムがつかめた感触があったんでしょうね。

「楽しくなってからは、タクシーの運転手さんに聞いてもらったこともあります。“活動弁士をやっているんですけど、そういう仕事を知っていますか?”って聞いて、知っているという運転手さんに披露しました。“すごいですね!”って、ただにするよと言ってくれた方もいました(笑)」

──活弁のほかに、今回の役を演じるうえで大切にしていたことはありますか?

「監督からは“ただただ活弁がうまくなれば、あとはいい”と言われていたので、そのほかには特に意識したことはないです。あとは勝手に体が動いたという感じで、それは初めての感覚でしたね。お芝居をするときはどうしてもいろいろと考えてしまうんですけど、共演者の方たちがすごいメンバーなので、僕はもうどうこうするというよりも一生懸命立っていればいい、という思いもありました。『カツベン!』というタイトルなのに僕の活弁がへただと話にならないですしね」

──先輩たちに囲まれた現場で、ハードな撮影だったのでは?

「そんなにハードじゃなかったですよ。1日に1シーンか2シーンしか撮らないことがほとんどでしたし。すごくゆっくり時間をかけて丁寧に、贅沢に撮っていきました。本当に豊かな現場だったと思います」

──初主演映画を初めてスクリーンで見た時の感想は?

「僕がいっぱい出てるな、って単純に思いました(笑)。でも僕が出ているかどうかはさておき、映画が始まってすぐに楽しい! と思えて、大船に乗った気分で見られたんです。現場では監督はなぜ、ここにこんなに時間をかけてこだわっているんだろう? と不思議に思うことがあったんですよ。その多くはセリフではなくて人が出入りするタイミングなど動きについてだったんですけど、完成作を見たらその明確な答えがすべてスクリーンに映し出されていて、監督のことをあらためて尊敬しましたね」

──好きな周防監督の作品は?

「1本選ぶのは難しいけど、『Shall we ダンス?』(’96年)。役所広司さんと竹中直人さんがトイレで踊るシーンがすごく好きなんです。今回の現場は昼間の撮影が多かったので、共演者の皆さんと撮影が終わってからごはんを食べる時間も結構あって、竹中さんから、“あの時はダンスの練習をする時間がなくて大変だったんだよ”と教えてもらいました。あの映画がヒットしたことで社交ダンスの世界について知る人がすごく増えましたよね。『カツベン!』もそうなのですが、周防監督の作品にはそれまであまり知られていなかった世界を見せてくれる楽しさがあると思います。周防監督の作品のなかでも『カツベン!』は抜群に楽しい映画だと思うので、ぜひ映画館で盛り上がってもらえたらうれしいです」

【MY MOVIE~弁が立つ!】

すぐに浮かんだのは、「ソーシャル・ネットワーク」(’10)の主演のジェシー・アイゼンバーグ。大学生の頃にFacebookを作ったマーク・ザッカーバーグを演じているんですけど、めちゃくちゃすごい勢いでセリフをしゃべるんです。見た後で、あの役を演じられるのは彼以外には考えられない、と思いました。すごく好きな映画です。ああいう役をやってみたいけど、日本語のリズムだと難しいような気がするし、セリフの量がかなり多いから覚えるのが大変そう(笑)。もしも必死でセリフを覚えたのに前日に台本の修正が入ったりするようなスケジュールだったりしたら、絶対に無理な役だと思います。

ジャーナリストの世界を描いた「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」(’17)でメリル・ストリープとトム・ハンクスが演じたのも、弁が立つキャラクター。2人が朝ごはんを食べているシーンなどのやりとりのテンポがすごいんですよね。力のある役者さん同士の共演だからこそ成立しているシーンだと思います。

【プロフィール】


成田凌(なりた りょう)
1993年11月22日埼玉県生まれ。蠍座。O型。MEN’S NON-NOモデル、俳優として活躍し、「カツベン!」で映画初主演。’20年の待機作に「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」(2月21日公開)、「弥生、三月 -君を愛した30年-」(3月20日公開)、「糸」(4月24日公開)、「窮鼠はチーズの夢を見る」(上半期)などがある。

【作品情報】


「カツベン!」
12月13日公開
監督/周防正行 出演/成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 音尾琢真 竹中直人 渡辺えり 井上真央 小日向文世 竹野内豊ほか

映画が無声の時代、自らの語りと説明で映画を彩った活動弁士。ニセ弁士として泥棒一味に加わっていた俊太郎(成田)はそこから逃れ、ある映画館にたどり着く。本物の活動弁士を目指すなか、初恋の人と再会して…。

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取材・文/細谷美香 撮影/山本絢子

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