日ハム大田、苦節11年1億円更改の決意「4番に憧れ」 目指すは“繋ぎ”サブロー氏

契約更改に臨んだ日本ハム・大田泰示【写真:石川加奈子】

札幌市内の球団事務所で年俸1億円でサイン、4番奪取を宣言「腹をくくっている」

 日本ハムの大田泰示外野手が3日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、3500万円増の年俸1億円でサインした(金額は推定)。プロ11年目で念願の大台到達。来季は4番を目指すことを宣言した。

 ドラフト1位で巨人に入団してから11年。未完の大器と言われた男が、新天地で一流選手の証を手に入れた。日本ハム移籍3年目の今季は132試合出場。打率.289(557打数161安打)、20本塁打、77打点、6盗塁と全てキャリアハイをマークした。「北海道に来て、ファイターズ入って、試合に出る喜び、充実感を今となってすごく感じている。その中でしっかり評価してもらって、しっかりとしたお給料をもらえるのはうれしいこと」と静かに喜びを噛みしめた。

 トレードでチャンスをつかみ、才能を開花させた。「僕がファイターズの中心選手になっていけば、下でくすぶって、なかなかレギュラーを取れない選手がトレードで出て行って、いろんな複雑な心境あると思うけど、こういう例もあるという、いいサンプルになれればいいかなと思います」と同じような境遇の選手たちにエールを送った。

 もちろん、ここがゴールがではない。「自分としては、今年の成績に満足してないですし、打率もホームランも打点も、まだまだやれると思います」と、さらなる飛躍を誓った。「何よりも長く野球をやりたい。20年やりたいから。それも第一線で試合に出続ける、という気持ちです」と決意を新たにした。

 来季は満を持して4番の座に挑む。移籍後初めて4番に座った今年9月26日ロッテ戦では、20号ソロを含む2安打1打点を挙げて勝利に貢献した。「野球をずっとやってきて、4番に憧れがあるし、4番を打ってチームを引っ張って1勝1勝積み上げていくのは、やりがいでもあるし、責任もある。4番を打つということに関しては本当に腹をくくっている」と力を込める。

 理想とする4番としての姿をグラウンド内外で示すつもりだ。「行動、言動、立ち振る舞いもしっかりとしたものを持ってやらないといけない。チームの顔が毎試合出る中で、シュンとしたり、テンションが低くてはダメだと思う。毎日同じように、同じ目をして野球をする。そういう姿勢を下の子にも、チームにも見せる。毎日、士気が高い中でゲームをする。レギュラーがそういうことをしないと、チームはバタバタバタと今年みたいになっちゃう。だから来年は強い心を持ってやりたい」と自分に言い聞かせるように語った。

 打撃における理想の4番打者には、今季限りで引退した阿部慎之助氏の名前を真っ先に挙げた。「阿部さんはハンパなかったけど、僕はそこまで、ホームランをパカパカ打ち込んでいくのは難しいと思うから」と言った後に続けた名前は、ロッテなどで活躍したサブロー氏。「チームバッティングに徹する4番もいいんじゃないかなと思う。ホームラン20本ぐらい打って、得点圏ではしっかり返す。得点圏になった時にホームラン狙いにいって、三振だったらシラけるしょ。そこでしっかりヒットを打って1点返して、その後のバッターに任せるのも大事だと思う。しぶとさだったり、ここ打ちそうやなと嫌がられるような……」と語る口調はどんどん熱を帯びていく。4番奪取を公言し、敢えて自分にプレッシャーをかけた大田。100打点以上を目標に掲げ、勝負強い4番を目指す。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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