歌舞伎町でタイ人男性が“男に声をかけ”て御用 壊滅したかに見えた「裏の顔」が息を吹き返した街

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典型的なマンガチックな出来事だが、この街の“いま”をあらわしていると言えよう。東京新宿歌舞伎町で12月1日、道行く男性に声をかけ、レンタルルームに連れ込もうとしたタイ国籍の男(30)が東京都迷惑防止条例違反の疑いで逮捕された。3日、TBS系列が報じた。

男性が男性を誘う意味とは

タイ国籍の「男」は男性に「一緒にホテルに行こう。1万5000円」と交渉し、近くのレンタルルームに連れ込もうとした。男にとって不幸だったのは、連れ込もうとした男性が警戒中の警察官だったことで、文字通り飛んで火にいる夏の虫(冬の虫?)とばかりに御用となったのである。タイ人男性の目的が売春だったことは、ほぼ間違いないだろう。

歌舞伎町にもタイにも関心がない人からすると男性が男性を……ということに疑問符をつけるかもしれないが、このタイ人男性の“見た目”は女性的であり、またかつての歌舞伎町では女性的な(あるいは女装した)男娼が一定数いたのである。この小さな事件でキーワードとなるのは、この男娼と言うことだ。

周知の通り、遠く石原都政以降の歌舞伎町は「壊滅作戦」とその後の歌舞伎町ルネッサンスによって、それまで街の“裏花形”であったみなし営業と呼ばれる性感ヘルスなどが一斉に姿を消した。個人的に街の急速な変貌に思うところもあるが、住人の努力によって歌舞伎町ルネッサンス自体は成功しており、街には若者は溢れるようになった。しかし、壊滅させられた風俗がそのまま消えてなくなることはなかったのである。

ぱっと見、姿を消したグレーゾーン風俗の多くは派遣型風俗店へと鞍替えしたが、一部の悪質な風俗店は潜航して営業を続ける。その結果として、一時は半ば姿を消していた客引きが公然と街に立つようになった。実際、いま歌舞伎町を歩けばわかるが、道々は客引きで溢れていて、このような様子は遥かバブル時代、新風営法施行以前のカオスを思い出させる。しかも、バブル時代にはなかったアフリカ系に象徴される外国人客引きのおまけつきで。

はっきり言えば、現在の歌舞伎町は壊滅状態から立ち上がり、(良くも悪くも)当時のカオスが蘇った状況にある。そのなかに、久しくみなかった男娼や高齢の娼婦、そして東南アジアを追い出された格好の外国人男娼までが歌舞伎町に姿を見せるようになったのだ。これがどういうことかと言うと、歌舞伎町にゼニが戻ってきたのであろう。ここ20年ほど停滞を続けた歌舞伎町は、一部では「終わった街」とも腐されていた。その潮目が変わったのある。

以前、本サイトでも取り上げたホリエモンの高級焼肉店オープンもその一端と言える。彼のような目端が利く人物が出店すること自体、上げ潮ということなのだ。同時に、イリーガルな風俗などダークサイドもまた息を吹き返している。再び歌舞伎町は、もっとも注目すべき場所となった……。

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