対馬と韓国

©株式会社長崎新聞社

 対馬にはハングルがあふれている。交通標識や観光案内板、商品の紹介など、どこに行ってもハングルを見かける。それだけ韓国人観光客の受け入れに力を入れてきたということだろう▲先日、対馬を訪れたが、ハングルを活用するはずの韓国人らしき観光客は見当たらなかった。日韓関係の悪化で韓国からの観光客が激減し、免税店はシャッターを下ろしていた▲対馬を訪れる韓国人観光客は年々増加し、2018年には41万人を超えた。観光客を当て込んでホテルがオープンするなどしたが、今は逆風にさらされている▲対馬と韓国の関係は深い。豊臣秀吉による朝鮮出兵で断絶した国交を回復しようと、江戸時代に朝鮮通信使の派遣を働き掛けたのは対馬藩。外交文書(国書)の偽造までして派遣を実現させた▲老舗菓子店に立ち寄ると箱に通信使の絵巻があしらわれていた。そしてハングルの説明文も。「国境の島」と言われる対馬だが、現地に行って感じたのは「国境を越えて交流してきた島」▲対馬の方言に「ぱる」という言葉がある。「掘る」という意味だが、韓国語の「掘る」も同じような発音をするという。長い年月をかけて交流が深まる中で発音が似てきたのかもしれない。次に訪れる時には国境を越えた観光客であふれていることを願いたい。(豊)