ゲルハルト・ベルガーがスーパーGT×DTM特別交流戦を振り返る「この経験を活かし前に進みたい」

 11月22〜24日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたスーパーGT GT500クラス車両とDTMドイツ・ツーリングカー選手権の車両による『AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT x DTM 特別交流戦』。日本はもちろん、テレビやネットでレースを観たヨーロッパのファンにも多くの印象を残したレースとなったが、このレースを終え、DTMドイツ・ツーリングカー選手権を運営するITR e.Vのゲルハルト・ベルガー代表が、DTMの公式サイト内でインタビューに応えた。

Q:ゲルハルト、富士スピードウェイでのスーパーGT×DTM特別交流戦の印象はいかがでしたか?ゲルハルト・ベルガー(以下GB):正直に言うと、スターティンググリッドに立って、異なるカラーリング、そしてブランド名をまとったさまざまなマニュファクチャラーのマシンがグリッドに着くシーンをみて、とても感情的になったよ。その時点で我々の努力や計画、そしてその困難さに価値があることは分かっていたし、カテゴリーとして向かうべき方向であることは分かっていた。でもその瞬間、私は100%確信したし、素晴らしい気持ちにさせてくれた。

Q:スーパーGTとのコラボレーションにおける次のステップはなんでしょうか。GB:まず、今回のドリームレースのようなイベントを作り上げるのは決して簡単ではなかったということを言っておきたい。膨大な計画と努力が必要であり、特にロジスティクスについては非常に難しかった。ただ、やり甲斐はあったよ。
 ヨーロッパでは、ふたつのステップを同時にやり遂げようという傾向があるけれど、日本人はもっと慎重で、実行に移す前によく検討する。これは文化的な側面だが、大きな問題ではない。
 まず次のステップにいく前に、(DTM第9戦)ホッケンハイムと富士で得られたことを分析する必要がある。それはコミュニケーションもそうだし、コスト、ロジスティクス、そしてメディアへの露出などだ。そしてその後、改善すべきところ、異なる方法ですべきところを分析してから次のステップに向かわなければならない。

Q:次のドリームレースについての計画はあるのでしょうか。GB:いくつかの目標はある。まず、もっとDTMマシンが参加して欲しいと思っているよ。次のステップは、DTMの全車とスーパーGTの全車によるフルグリッドのレースだ。また考えなければならないのは、それをどこで開催するかだ。また日本で行うのか、それともドイツか、はたまた第三国か? それらはすべて可能性があり、ロジスティクスで機能させる方法を探してから決めたい。

Q:今回のレースは、クラス1レギュレーションに興味を寄せる新たなマニュファクチャラーにタイしての重要なショーケースになったのでしょうか。GB:もし私がマニュファクチャラーの担当ならば、こうしてふたつのシリーズがともにレースを開催し、性能が均衡できるのであれば、F1に次ぐ壮大なモータースポーツのシリーズになると判断するだろう。もちろん実現には多くの困難があるが、印象的であったことは間違いないだろう。
 また、クラス1レギュレーションはさらにマニュファクチャラーに対して多くのものを提供することができる。ふたつの大陸をまたいでひとつのプログラムで動かすことができ、経済的にも魅力がある。これはまだ進行中の議論だが、何台かの日本車がDTMで走り、何台かのDTMマニュファクチャラーのマシンが日本で戦うのを観られれば、それは素晴らしいだろう。

Q:クラス1レギュレーションの“次”は何があるでしょうか。GB:我々はレギュレーションとルールをさらに発展させていきたいと思っている。もちろんたくさんの問題があるが、我々は日本にいる坂東さん(GTアソシエイション坂東正明代表)と密接に働いているんだ。
 日本で見たように、これらの物事が進むには多くの時間が必要だ。我々はステップ・バイ・ステップで進んでいかなければならない。我々は今後数年のうちに、さらなるいい回答を得られるはずだ。

Q:最後にひとことお願いします。GB:何年もの間、我々が育ててきたアイデアがついに実現したのは素晴らしいことだった。我々は日本で、これらのアイデアが正しいものだったことを証明した。このレースの後、我々がこれを経験として有効に活用し、前進することを願っている。このレースに大きな未来があることは間違いないよ。

富士スピードウェイで開催されたスーパーGT×DTM特別交流戦。異なる歩みを続けて来た日独のシリーズに参戦するマシンが相まみえる歴史的レースとなった。
スーパーGT×DTM特別交流戦でGTA坂東正明代表と握手をかわすゲルハルト・ベルガー

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