【MLB】“サイン盗み”に新たな疑惑、ヤ軍も被害者か? 地元紙「悪意あるチームに騙された」

サイン盗み疑惑が報じられているアストロズ【写真:Getty Images】

今季のリーグ優勝決定S・第6戦で、光の点滅で“サイン盗み”を行ったという

 MLBのオフシーズンを賑わせているアストロズの“サイン盗み疑惑”。球団史上初の世界一に輝いた2017年に組織ぐるみで不正行為を行っていたことを、当時チームに所属していたマイク・ファイアーズ投手(現アスレチックス)らが米スポーツメディア「ジ・アスレチック」に証言したことが発端となったが、ここにきて新たな疑惑も浮上してきている。

 ニューヨークのTV局「SNY.tv」は今季のリーグ優勝決定シリーズのヤンキース戦でも不正が行われていたと伝えた。ヤンキースは今季103勝59敗の好成績で2012年以来7年ぶりにア・リーグ東地区を制覇。勢いのままに地区シリーズを3連勝で突破したが、アストロズとのリーグ優勝決定シリーズ第6戦では守護神のチャップマンがサヨナラ弾を浴びて終戦した。記事では「悪意のあるチームに騙された。そして、失われたチャンスは二度と戻ってこない」と糾弾している。

 リーグ優勝決定シリーズでは、アストロズが口笛でサインを伝えているのではないかとヤンキース側が指摘し、アストロズのAJ・ヒンチ監督がバカにしたような発言で一蹴したのことがすでに話題となっていた。しかし、リーグ関係者によると、疑惑は口笛だけにとどまらないという。

 アストロズ本拠地のミニッツメイド・パークで行われた第6戦で、ヤンキースは「センターフィールドで、点滅するライト(光)についても不平を漏らしていた」と言及。「それは、ヒンチ監督が口笛についてのレポートに対してバカにしたような発言をしたすぐあとのことだ。傲慢な彼らは、そのあともサイン盗みを続けていたということなのだろう。ちなみに、光の点滅はその試合の序盤戦後に消えたということだ」と伝えている。

あるライバルGMは「ブラックソックス以来、最悪のこと」と八百長事件と比較

 さらに口笛についても「ヤンキースは、アストロズがイニングによって口笛と手を使ったサインを使い分けていたのではないかとも考えていた。また口笛は、音の高低のタイプが様々であったということだ」と様々な異変に気づいていたようだ。10年ぶりのワールドシリーズ進出をかける大舞台で、このようなことを気にしなければならなかったのは大変だっただろうとしている。

 記事では、あるヤンキースの関係者に「もし、機会があればアストロズがやっていたと思われることをやるか」と聞くと、「そんなことは、絶対やらない。それは悪いことだ」と答えたと紹介。あるライバルGMも、このことを「ブラックソックス以来、最悪のこと」と言ったとしている。

 1919年のブラックソックス事件では、賭博絡みの八百長でホワイトソックスがレッズに世界一の座を譲ったとされる。ホワイトソックスは、相手に有利になるようにシリーズを戦ったが、「ヤンキースは数少ないチャンピオンシップのチャンスを失った。そして、それは二度と戻ってくることはない」と、このときとは少し状況が違うことにも言及している。

 2019年は奇しくもブラックソックス事件からちょうど100年。この事件では8選手が永久追放処分となったが、今回はどのような結末を迎えるのか注目が集まる。(Full-Count編集部)

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