<社説>救急記録の書き換え 事実関係を究明し公表を

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 島尻消防組合消防本部で、救急活動について報告する「救急活動記録票」の時間記録が書き換えられていたことが明らかになった。 同消防の職員は本紙の取材に、幹部の指示によるものと指摘し「傷病者やその家族に記録票の提出を求められたとき、出動時間などが遅いと訴えられる可能性があるため、適切な対応だったと主張できるようにするための措置だったと思う」と述べている。記録の改変は10~20年前から慣例的に行われていたという。

 公文書を都合よく書き換える行為が許されていいはずがない。記録が事実と違っていたのでは、救急活動が適正に行われたかどうかの検証が不可能になってしまう。管内の住民に不利益をもたらし、信頼を裏切る行為であることは明らかだ。

 島尻消防組合消防本部は南城市と八重瀬町が共同で運営している。管理者の南城市長、副管理者の八重瀬町長には、全容を解明し事実関係を明らかにする責務がある。

 島尻消防を巡っては、パワハラや賭博が行われていたとの通報が職員から総務省消防庁になされるなど、さまざまな不祥事が指摘されていた。組織の規律は保たれているのだろうか。

 管理者の瑞慶覧長敏南城市長は、報道で明るみに出た問題に関し、第三者委員会を設置して調査するよう指示した。公正を期すためには、地域としがらみがなく、信頼できる有識者を委員に任命する必要がある。大切なのは第三者委をつくることではなく、第三者委を正しく機能させ、真相を解明することだ。

 気になるのは、10月14日に八重瀬町で発生した交通事故の記録書き換えについて、瑞慶覧市長が「データ上の更新でどうしてもこうなってしまった。改ざんでも何でもない」と3日の「正副管理者会議」後に述べた点だ。第三者委による調査もしないうちに「改ざんではない」と言い切るのは早計に過ぎる。

 勤務していた職員の一人は、本紙の取材に対し、「出動までの時間が長いから直せ」と幹部から書き換えの指示があったことを認めている。

 本紙が入手した内部文書によると、事故の発生後、消防司令本部の指令を受けた時刻と事故現場に出動する時刻が、実際よりも早い時間に書き換えられている。「データ上の更新」として不問に付されるような問題だとは思えない。

 「改ざんではない」と言うのなら、誰もが納得できる根拠を示すべきだ。内部文書が外部に出たことを問題視しているようだが、公益を目的とした通報者は保護すべきであって、糾弾の対象にしてはならない。それが前提になければ、調査そのものが円滑に進まないだろう。

 管理者に求められるのは、事実関係を徹底的に究明し責任の所在を明らかにすることだ。うやむやにするわけにはいかない。