[InterBEE2019]ナックイメージテクノロジー/アスクブース:ビデオアシストソフトウェア「QTAKE」の専用ハードウェアを手掛けるOVIDE社が新製品を展示

QTAKEを活用したハードウェアを開発するOVIDE社

今年のナックイメージテクノロジーは、3つのブースに分かれて出展。そのうちの一つ(ブース番号7410)では、VR・AR・MRソリューションを紹介しており、株式会社アスクと協力してZeroDensity社とStype社のVR/ARソリューションや、映画やドラマ、CMの撮影現場で効果を発揮するOVIDE社のビデオアシスト製品の展示が行われていた。

OVIDE社はIN2CORE社のビデオアシストソフトウェア「QTAKE」を内部に組み込んだハードウェア製品を開発しているメーカーで、いくつかの新製品を紹介していたので、こちらに焦点を当てて紹介しよう。

例えば、F1マシンはエンジンとボディは別メーカーが手掛けているのが一般的だが、QTAKEとOVIDEの関係はこれに近い。中で動いているエンジンはQTAKE、ハードウェアはOVIDEが手掛けていて、1つのソリューションを実現しているイメージだ。

そのエンジン部分であるQTAKEを紹介をすると、一般的に撮影では、撮影現場でプレイバックをして、撮影された素材をチェックする「ビデオアシスト」と呼ばれるポジションのスタッフがいる。

日本はDITとビデオアシストを同じスタッフが担当することが多いが、海外ではビデオアシストはDITとは別のポジションとして存在している。ビデオアシストは、現場でのモニターアウト、撮影時の記録やメタデータの管理を担当するスタッフで、QTAKEは、それらの作業に特化した専用ツールになる。

in2core社のデジタルビデオアシストソフトウェア「QTAKE」

QTAKEを使えば、OKカットのみをプレイバックしてクライアントに確認したり、カメラマンが見たり、ディレクターのチェックも簡単にできるようになる。また、QTAKEで収録される撮影データには、ビデオ以外にもSDI信号やLAN経由で取り込んだメタデータを付加することが可能だ。

使用したレンズデータやショット/アングルチェックのデータ、カットナンバーなど、あらゆる情報がQTAKEで管理できる。最終的には、メタデータも含めたカット表を生成し、PDFによるレポートが書き出しできるため、撮影後にすぐに編集、ポスプロ作業に移るための最適なデータを作成できる。

OVIDE社のフラッピー氏

QTAKEを搭載したビデオアシストセットを実現する「OVIDE SMART DOCK」

現行のOVIDE製品・ソリューションから紹介しよう。通常、QTAKEでビデオアシストシステムを構築するためには、Macとビデオキャプチャボード、オーディオインターフェイスやSDIルーティングハブなど、複数のハードウェアを必要とするが、QTAKEをインストールしたMacBook ProとUSB-Cケーブル1本繋ぐだけで、ビデオアシストセットを構築できるQTAKE専用のハードウェアがOVIDE SMART DOCKだ。電源供給からビデオIO、保存用のメディアまでもが、ケーブル一本繋ぐだけで完結されているのが特徴だ。

OVIDE SMART DOCKは2つのビデオ入力と、6つのビデオ出力に対応し、あらゆるカメラメタデータも記録可能。入力映像はそのままライブ出力したり、メタ情報を画面にオーバーレイしてモニタリング、カラコレや簡単なキー合成もリアルタイムで行うことが可能だ。

2つの入力と6つのビデオ出力を備えたOvide Smart Dock

オールインワン・ビデオアシストシステム「Ovide Smart EVO+」

一見よく見る外部SDIモニターに見えるが、これはQTAKEビデオアシストシステムの一体型ハードウェア「Ovide Smart EVO+」だ。SMART DOCKは、本体とは別にMacを用意しなければいけなかったが、EVO+は、これ一台ですべて完結されている。モニターはタッチパネルを採用し、QTAKEの全機能をタッチで制御可能。SMART DOCKは、2つのビデオ入力と6つのビデオ出力だったが、EVO+は4つのビデオ入力、12つのビデオ出力対応のシステムとなっている。

UPS搭載で電源が外れた状態でも2分間は動作可能。Teradek BOLTのような映像伝送システムの電源供給などに使用できる外部電源出力も用意されている。また強力なファンを搭載しており、真夏の現場にも対応できるよう熱対策にも対応している。

EVOとEVO+の違いは、CPU、GPU、メモリのアップデートのみになる。

Ovide Smart Assist EVO

タッチパネルでQTAKEの操作が可能

各SDI出力にはQTAKE上での設定が表示されるので、どこに何が繋がっているのかひと目で分かるようになっている

新製品の「Ovide Smart Stream」と「Ovide Smart DMT One」

OVIDEが独自で開発した新製品も展示されていた。「Ovide Smart Stream」はオートREC(自動収録)に特化した製品で、4本のSDIからカメラがREC開始した瞬間に自動的に映像信号をH.264でキャプチャする。記録された映像は本体に表示されるQRコードをスキャンして、iPhoneやiPadですぐに確認可能。

QTAKEを撮影現場で活用するためには、メタデータの扱いや収録された素材をどのように管理をするか、現場での知識やオペレーターとしての経験も必要になる。そういった専任者がいない場合は、Ovide Smart Streamを使用して収録を自動化し、撮影現場にいる関係者が必要に応じて、好きなタイミングで好きなテイクを見ることができる。電源オンにするだけで準備完了となるのも大きな特徴だ。

「Ovide Smart DMT One」は、DIT向けの製品となっている。本体には、RED Mini Mag、Codex、CFast用のモジュール式メディアリーダーが組み込まれており、トランスコード用のGPUも搭載されている。これまで、DITはメディアリーダーや、メディアフォーマットの変換・コピー作業の時間短縮のためにトランスコード用に別途GPUを用意しなければならなかったが、DMT Oneはそれらを一体化しており、USBケーブル一本繋ぐだけでコピーとトランスコードを可能にした製品だ。

上が「Ovide Smart DMT One」で下が「Ovide Smart Stream」

iPadやiPhoneをSDIモニターとして使える「ScreenPort SDI」

ScreenPort SDIは、iPadやiPhoneでSDI経由のビデオ入力をモニタリングするためのハードウェアだ。iPhoneやiPadのスクリーンは、広色域や高い処理能力などの仕様を備えているが、ビデオ入力がないために外部モニターとして使用することはできない。このハードウェアはiPadやiPhone、MacでSDI信号のモニタリングやキャプチャを可能にするデバイスだ。

ScreenPort SDIは、3G-SDI入力と3G-SDIループスルー出力を搭載。モニタリング用途で設計されているため、AppleデバイスからのSDI出力は搭載されていない。車中のシーンなど、狭いスペースでモニタリングをしたいという場合には、最適なシステムと言えるだろう。

iPhoneやiPadをモニターやレコーダーに変身させるScreenPort SDI

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