鷹はバレンティンをどう使うのか? 他球団の脅威となる起用パターンを予想

ソフトバンクの獲得が秒読み状態と見られるウラディミール・バレンティン【写真:荒川祐史】

バレ獲得のフロントの狙いは高いレベルで選手起用に幅を持たせること

 ヤクルトの保留者名簿から外れ、ソフトバンクが獲得することが秒読みとなっているウラディミール・バレンティン外野手。2013年にプロ野球記録となる60本塁打を放ち、ヤクルトに在籍した9年間で8度の30本塁打超えを果たしている生粋の長距離砲だ。今季で国内FA権を取得し、来季から日本人扱いとなる。

 今季、3年連続で日本一に輝いたソフトバンク。その選手層は他球団に比べると分厚く、充実の戦力を誇る。そこに加えてのバレンティン獲得。球団フロントは、常に高いレベルで状態の良い選手が試合に出られるように、選手起用に幅を持たせるための補強だとしているが、では、どのような起用法が見込まれるのか。

 現在、保留者名簿から外れ、球団とキューバ政府が交渉中のデスパイネ、グラシアルの残留が決まったと想定して、いくつかのパターンを考えてみよう。

○パターン1
捕 甲斐拓也
一 内川聖一(or中村晃)
二 牧原大成(or明石健志、周東佑京)
三 松田宣浩
遊 今宮健太
左 バレンティン
中 柳田悠岐
右 グラシアル
指 デスパイネ

 考えられるパターンで最も攻撃的に行くならば、この形か。左翼にバレンティンを置き、今季は主に左翼を守ったグラシアルを右翼に回す。バレンティン、グラシアル、デスパイネの3人を同時に起用するという布陣だ。ただ、右打者が7人に偏り、守備面には大きな不安が残る。

○パターン2
捕 甲斐拓也
一 内川聖一or松田宣浩
二 牧原大成(or明石健志、周東佑京)
三 グラシアル
遊 今宮健太
左 バレンティン
中 柳田悠岐
右 中村晃(or上林誠知)
指 デスパイネ

○パターン3
捕 甲斐拓也
一 グラシアル
二 牧原大成(or明石健志、周東佑京)
三 松田宣浩
遊 今宮健太
左 バレンティン
中 柳田悠岐
右 中村晃(or上林誠知)
指 デスパイネ

グラシアルが様々なポジションをこなせ、様々な起用を考えられる

 パターン2と3はベテランの内川聖一、松田宣浩に代わってグラシアルを一塁手ないし三塁手で起用する布陣。内川、松田宣の状態に応じて選手を入れ替えられる。左翼にバレンティンが入り、右翼には中村晃や上林誠知が入る。パターン1よりも守備面での不安は少なくなる。

○パターン4
捕 甲斐拓也
一 内川聖一or中村晃
二 牧原大成(or明石健志、周東佑京)
三 松田宣浩
遊 今宮健太
左 グラシアル
中 柳田悠岐
右 上林誠知or中村晃
指 デスパイネorバレンティン

 最もディフェンスを考えるなら、この形か。ベースは今季のベスト布陣で指名打者をデスパイネ、バレンティンのどちらかにする。スタメンから外れた1人はここ1番の勝負所での代打。なんとも贅沢な起用法だ。

○パターン5
捕 甲斐拓也
一 内川聖一(or中村晃)
二 グラシアル
三 松田宣浩
遊 今宮健太
左 バレンティン
中 柳田悠岐
右 中村晃(or上林誠知)
指 デスパイネ 
 
 ウルトラC的な起用法がこのパターン5。ソフトバンクで唯一、レギュラーと呼べる選手が固まっていないのが二塁手。今季は牧原大成がその筆頭格となったが、またレギュラーとは言い切れないところ。ここにグラシアルを置き、破壊力抜群の打線を組むことも可能になる。ただ、二塁の守備に不安は残るが……。

 ざっと考えても、これだけ起用法の幅が広がる。グラシアルが左翼、右翼、一塁、三塁と、複数ポジションをこなせることが大きい。二塁手でも2018年に2試合に出場している。バレンティン加入により、ソフトバンクはどんな布陣を組むのか。他球団にとっては脅威となるのは間違いないだろう。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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