暴追基金 残高厳しく 市民集会、長崎市は継続方針 「いのちの碑」来夏移設

伊藤一長前市長の射殺事件を契機に建立されたモニュメント「いのちの碑」=長崎市魚の町

 定例長崎市議会は4日、一般質問を続行し、4人が登壇。長崎市は2007年4月に伊藤一長前市長が凶弾に倒れた事件を受け創設した「暴力追放いのちの基金」の残高が、本年度末に約70万円となる見込みとなり、2021年度以降の市民集会の開催が現状では厳しいと明らかにした。長崎市は「暴力追放運動は安全・安心なまちづくりを推進する上で重要」として、関係団体と財源確保策の検討を進め、集会を継続する方針を示した。

 吉原孝議員(自民創生)の質問に、日向淳一郎市民生活部長が答えた。

 市民集会は「暴力追放『いのちを守る』長崎市民会議」(会長・田上富久市長)と市が08年から毎年開催。地域住民や防犯団体関係者ら約千人が参加し、街頭パレードなどを通じ安全で安心な地域社会の実現に向け、暴力追放の機運を高めている。

 基金は、全国から集まった募金で建立したモニュメント「いのちの碑」製作費の余剰金約1400万円を基に2008年創設。市民集会の経費などに充てている。

 日向部長は「暴追運動は市民、事業者、関係機関・団体、行政が一体となって取り組むことが必要だと考えている」として市民集会継続の必要性を示した。

 長崎市自治振興課によると、公会堂跡地にあるモニュメント「いのちの碑」は、新市庁舎の建設に伴い、来年夏ごろ、近くの魚の町公園に移設される予定という。

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