赤ちょうちん、水割り、〆ラーメン禁止! 玉袋モグワイに約束を守る大事さを教えてくれた『グレムリン』

『グレムリン』© 1984 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

最近はハロウィンに押され気味!? なクリスマスに観たい映画といえばコレ!

さあ、クリスマスも近づいてまいりました! 最近のクリスマスは、かつてのような一大イベント的なイメージが、完全にマイケル・マイヤーズ(ハロウィン)にサンタクロースともども殺られてしまった感が否めないけども、昭和生まれはやっぱり洋物イベントの主役はクリスマスなんだよなぁ。今回はクリスマスプレゼントが巻き起こす夜の大騒動『グレムリン』(1984年)でいこう。って子供映画じゃないか!

さぁ優秀なる編集部様、『グレムリン』をざっと説明してください。

『グレムリン』 <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組)¥6,345+税 ブルーレイ ¥2,381+税/DVD ¥1,800+税 ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント © 1984 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

クリスマスの夜、ビリーは発明家の父親からとっても不思議な生き物“モグワイ”をプレゼントされる。大喜びのビリーはモグワイを“ギズモ”と名付けて可愛がるが、なんとギズモの体からイタズラ好きの“グレムリン”が誕生してしまった! 次々と増えては街中を大パニックに陥れるグレムリンたちを退治するため、ビリーとギズモの大奮闘がはじまる!!

まぁ久しぶりに観たけども、迷惑なペットのプレゼントはやらないほうがいいってことだ。発明家のお父さんが息子のために買ってきたプレゼントがモグワイ。歌を歌ったりお喋りしたりと可愛くて仕方ないけども、このペットを飼う為には大切な3つの約束がある。

①やさしく愛して
②わがまま言わせて
③さみしくさせないで
④誰にも秘密にしてね

って、ちあきなおみの「四つのお願い」になってしまった。

正確には

①光に当ててはいけない
②水かけたり濡らしてはいけない
③夜の12過ぎに食べ物を与えない

と、こんな単純なルールなのだが、ことごとく破っちゃって物語は進んでいくんだよなぁ。

『グレムリン』© 1984 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

余談だけど、オレが小学生の頃に新宿の小田急デパート前に車を横付けして、行き交う人たちに路上で犬とか猫とか、なんとサソリまで売ってた違法ペット業者のオジサンたちがいたんだよね。動物は手入れなんてしてないから悪臭漂わせててねぇ~。本当に乱暴なオジサンたちだよ!

ちなみに、そのサソリが逃げ出しちゃって新宿駅がパニックになったこともあったなぁ。そのショップは、あっ“ショップ”なんて言えたもんじゃないか、その違法ペット業者の売り場じゃ畳ひっくり返して、その上に沢山のミニウサギ乗っけて売ってたんだよ。そのミニウサギが可愛くてさぁ、お袋にねだって買ってもらおうとしたんだけども、お袋は売ってる男たちの怪しさにしか目がいかなかったから「可愛いのは分かるけど絶対に買わないよ!」とピシャリと言われた。

そのウサギ売り場の横にはダンボールの裏側にマジックで「このウサギは水をあげちゃだめ!」って汚い字で書いてあったんだ。子供心に「ウサギって水あげたら死んじゃうのかなぁ……」って感じたんだけども、大人になってから、自分の責任でペットとしてウサギを飼うことになったら、ウサギはお水ガンガン飲む生き物だったんだよ! ったく、あの違法ペット業者は売りもののウサギに水も飲ませなかったのかよ! ってな昔話だ。

ヒロインのケイトは<スナック玉ちゃん>だったら即採用の逸材!

映画の話に戻そう。街はクリスマスムード一色だけども、映画の中でもクリスマスを楽しみにしている人と、クリスマスなんて大嫌いっていう人が登場するのも面白い。銀行員の主人公・ビリーの同僚で、夜はバーで働いているケイト役のフィービー・ケイツ。公開当時、このスティーヴン・スピルバーグ製作・葬式の……ごめんベタで。製作・総指揮の映画の中身そのものと、オレの目当ては違っていた。当時オレのオナペットであったフィービー・ケイツである。オレは「モグワイ」よりもフィービー・ケイツと「マグワイ」したくてしょうがなかったんだよなぁ。

『グレムリン』© 1984 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

ビリーはクリスマス肯定派だけども、彼女はクリスマスに強烈なトラウマがあってものすごく冷めてるんだよね。モグワイには水をかけてはいけないんだけども、ケイトは街の人が待望している「クリスマス」に水を差したってことだ。まぁこれはルール違反じゃないな。しまいにゃアルバイトしているバーが酔ったグレムリン連中に乗っ取られちゃうんだからね、それでもちゃんとグレムリンにお客対応して、最後は酔客たちを退治するんだから、ケイトはアルバイトレディーの鏡だよ。あの調子だとスナックの酔客もあしらうことが出来るだろうから、オレのお店<スナック玉ちゃん>のアルバイトレディに即、採用したい逸材だよ。

『グレムリン』© 1984 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

しかし、可愛いモグワイが凶暴に変体してクリスマスをめちゃくちゃにするグレムリンたちは、ハロウィンのときに渋谷の交差点で大騒ぎしてる人たちを彷彿させるね。

『グレムリン』© 1984 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

街を相手に大騒動を展開しちゃうグレムリンはある意味、人に危害を加えるアライグマやカミツキガメなんかより凶暴化する「特定危険外来種」として、ワシントン条約で輸出も輸入も禁止にするべきだった。モグワイを飼っていた謎の中国人古物商は逮捕されても不思議じゃないよ。もちろん飼い主も責任が問われるよ。

『グレムリン』© 1984 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

最後は、その中国人がやって来て人間に警告して帰ってくんだけども、見終えてから「自分の周りのグレムリンは一体誰だ?」なんてこと考えちゃってね。いま話題の女優、沢尻エリカ・モグワイを買うための3つの約束なら、

①ちやほやしない
②夜な夜なクラブ遊びはさせない
③MDMAなどの合成薬物をあたえない

ってな感じになるね。

そしてオレをモグワイと考えたら、飼い主への3つの約束。

①光に(赤ちょうちん・ネオン看板)当ててはいけない
②水で割ってはいけない(たいがい焼酎の水割りで壊れていく)
③12時以降、食べ物(〆ラーメン)を与えない

の3つだな。①なんて夜になったらすぐに破ってしまうし、そこから②で泥酔状態になり、③で余計なカロリーを摂取してしまい内臓脂肪が増えたり、次の日の胸焼けにつながる。でも、この3つの約束を自分に課したら玉袋モグワイは死んでしまうだろうな。

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しかし「オイ、玉袋! これぐらいの約束の一つでも守ったほうがいいぞ!」と『グレムリン』は教えてくれたのだ。う~ん、ガキの映画の『グレムリン』はオレにとっての教育映画だったんだわな! メリー・クリスマス!

文:玉袋筋太郎

『グレムリン』はCS映画専門チャンネル ムービープラスにて2019年12月放送

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