フランス、5日にゼネストへ マクロン大統領の年金改革に抗議

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フランスで5日以降、エマニュエル・マクロン大統領の年金改革に抗議する大規模なゼネラル・ストライキ(ゼネスト)が予定されている。すでに警察や病院、空港職員などの労働組合がストを発表したほか、学校や公共交通機関などでもストが行われる予定で、大きな混乱が予想されている。

マクロン大統領は、ポイント制の年金システムの導入を考えているが、これによって年金受給開始年齢が引き上げられるほか、早期退職者の年金は減額されるという。

ゼネストは5日の予定だが、一部の労組指導者は、マクロン氏がこの改革を破棄するまでストを続けるとしている。

世論調査では、回答者の69%がストライキを支持している。中でも、18~34歳の支持が最も高かった。

フランスでは1995年、当時のアラン・ジュぺ内閣による年金改革をめぐって大規模なストライキが起き、3週間にわたって交通機関がまひした。マクロン政権はこの二の舞にならないよう、事態の緩和に努めている。

クリストフ・カスタネール内相は4日夜、フランス全土で約250件のデモが予定されていると発表。そのいくつかは暴動に発展する恐れがあると述べた。

「この抗議活動には多くの人が参加する予定で、そのリスクも把握している。暴動や暴力行為があった場合はすぐに逮捕に踏み切るよう当局に要請している」

2018年に起きた燃料税引き上げに対する抗議活動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」の参加者も、今回の抗議活動に参加するとしている。

交通機関に大きな影響

鉄道職員などを代表する労組は全て、5日からのストライキで合意しているため、通勤に大きな影響が出るとみられている。

フランス国鉄(SNCF)によると、5日に運行が予定されているのは高速鉄道TGVの1割のみ。その他の地域鉄道は完全に運休する。ユーロスターやタリスといった国際鉄道も影響を受ける可能性がある。ユーロスターはすでに、12月10日まで減便すると発表している。

パリでは地下鉄16路線のうち、運行するのは5路線のみとなる。また、パリ郊外の交通機関も大きな影響を受ける見込み。

空港の管制塔職員もストライキに参加するため、エールフランスの国内便の3割が欠航する。格安航空イージージェットはすでに200便以上をキャンセルした。

病院や警察もストに参加

看護師や病院職員、弁護士、警察官、ごみ収集業者、郵便職員、ガス・電気関連の職員も、ストライキを行うとしている。

アニエス・ビュザン保健相は、病院がどれだけストの影響を受けるか分からないと述べた一方、ストへの備えはあると説明した。

また、フランス最大の小学校教員労組は、フランス全土の4割の小学校がストによって閉鎖すると発表した。小学校教師の7割がストに参加する予定だという。

中学校・高校の教員労組は、6割の教師がストに参加するとした一方、学校は閉鎖しない方針だと述べている。

一方で農家は5日のストライキには参加しない見通し。

マクロン大統領の年金改革とは

フランスでは現在、さまざまな年金制度が動いており、マクロン大統領はこれを統一したい考え。改革では、労働者は1日働くごとにポイントを与えられ、ポイントに応じて年金受給額が決まるシステムを考案した。

しかし統一年金制度では、船員や弁護士、オペラ関連の労働者向けといった非常に先進的な年金システムがなくなってしまうことになる。

また、これまで62歳だった年金受給年齢を64歳に引き上げ、それより早く年金を受け取る場合には減額される。たとえば、63歳から受給する人は年金が5%減ってしまうという。

高齢化社会を懸念するマクロン氏は、統一年金制度の方がより公正だと主張しているが、これには反論もある。

たとえばフランスの地下鉄では数十年前、地下での長時間労働の見返りに早期退職制度を取り入れた。地下鉄スタッフは、マクロン氏の計画が導入されれば、この権利を失い、早期退職できなくなると懸念している。

最近の世論調査によると、75%の国民が年金改革が必要だと回答した一方、マクロン政権がそれを実現できると答えたのは3分の1にとどまった。

(英語記事 France braced for biggest national strike in years