中学給食「親子方式」で予算措置 愛川町、20年開始に現実味

小学6年生との昼食会でも「中学校でも温かい給食が食べられるようにする」と意気込みを語った小野澤町長=11月18日、愛川町半原

 神奈川県愛川町の小野澤豊町長は5日、中学校給食について、小学校で中学校の給食も調理する「親子方式」で実施するための関連予算案を、来年3月の町議会定例会に提出する考えを示した。施設の用途変更など、法的な課題が解消したという。町長が予算措置に言及したことで、親子方式の2020年度の開始が現実味を帯びてきた。

 同日に開かれた町議会第4回定例会の本会議で、小林敬子氏(共産)の一般質問に答えた。

 町長は「3月議会には親子方式の給食実施に向けた予算を計上できるよう努力する」と答弁。「ハード面、ソフト面で一つ一つ課題を解決し、心待ちにしている生徒、保護者の期待に応えられるよう全力を尽くす」と強調した。

 親子方式の導入を巡り、町にとって最大の課題だったのは建築基準法や都市計画法だった。

 自校以外の学校向けにも給食を調理すると、建築基準法上、給食室は「工場」とされる。だが町立小学校6校のうち、工場が建てられる区域にあるのは3校しかなく、残りの3校で調理すると給食室が違法と判断される事態が想定された。

 そこで町は県と相談するなどして対応を模索。都市計画法の市街化調整区域内にある高峰小の用途変更を申し入れ、県の許可を受けた。さらに建築基準法の「第一種低層住居専用地域」などに該当する菅原小と中津第二小は、親子方式導入という趣旨を説明し、県建築審査会から同法の特例を認められた。

 中学校給食を巡っては、町は09年度から民間施設で調理された給食を届ける「デリバリー方式」を採用。ただ衛生管理面から、おかずを冷却して提供するため、利用率が30%台と低迷し、生徒や保護者から「温かい給食」を求める声が上がっていた。

 これに対し、町は給食室を増築する必要がなく、費用を抑制でき、児童数減に直面する小学校の給食室を有効活用できる親子方式を最善と判断、導入を目指している。今後、調理機器の増設や水道・ガス設備の改修、配膳方法の見直しなどを検討する予定。

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