「正義感強かった」「どんな処罰でも夫は戻らない」 新幹線殺傷遺族の調書

殺傷事件を受け、小田原駅に長時間停車した東海道新幹線のぞみ265号=2018年6月9日午後11時半ごろ、小田原市

 新横浜-小田原間を走行中の東海道新幹線で昨年6月、乗客の男女3人が刃物で殺傷された事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職小島一朗被告(23)の裁判員裁判第4回公判が5日、横浜地裁小田原支部(佐脇有紀裁判長)であった。殺害された男性=当時(38)=の遺族の調書が読み上げられ、「二度と被告が事件を起こさない判断をしてほしい」と訴えた。

 調書で妻は、男性の人柄を「思いやりがあり、とても親切で、正義感も強かった」と回顧。プロポーズの際に仕事を続けたいと訴えた自身に、「全力でサポートするから大丈夫」と答えてくれたエピソードを明かし、「死ぬまで言葉通りの夫だった」とした。

 母は「どうしようもない喪失感、深い悲しみの中で毎日を過ごしてる」と心境を吐露。最初に襲われた女性を守るために男性が被告と対峙(たいじ)したことについては「逃げてほしかった」とするも、「体を呈して立ち向かった、けなげでいとおしい」としのんだ。

 刑務所に入るための犯行とする被告の説明には「あまりに身勝手で、息子がふびんでならない」と憤り、「ふさわしい刑罰を科してほしい」と望んだ。

 妻は「どんな処罰をされても夫は戻ってこない」とした。

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