AI運行バス、病院や商業施設と連携 全国初、実証実験へ

「AI運行バス」で使われる車両うちの1台(横須賀市提供)

 横須賀市の逸見地区周辺で9日、スマートフォンのアプリを通じて利用者ニーズに応じた配車を行うオンデマンド型乗合交通「AI運行バス」の実証実験がスタートする。医療施設や商業施設のシステムとも連携し、利用者の利便性向上と外出機会の創出、健康増進にもつなげる。病院などのシステムとも連携したAI運行バスは全国で初めて。 市と京浜急行電鉄、NTTドコモ、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の4者が協力して実施する。スマートモビリティ(賢い移動運搬手段)を活用し、産官学が一体となって社会課題の解決を目指す市の「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」の一環。

 AI運行バスは、利用者がアプリやコールセンターへの電話で、乗車地や目的地、乗車人数、乗車希望時間などを伝える。このリクエストに対して、AIがリアルタイムで最適な送迎ルートや、同じ方向に行きたい乗客同士の組み合わせを計算し、効率的な配車を行う。

 道が狭く高低差もあり、路線バスの走っていない吉倉町、西逸見町、東逸見町などがある逸見地区周辺が主な対象。約4500世帯1万2千人の住民が利用できる。同地区周辺の駅や公園、町内会館に加えて、地区から離れた市役所や病院など35カ所の乗降ポイントを設置する。

 横須賀のAI運行バスは、医療施設や商業施設と連携するのが特徴。横須賀共済病院の電子カルテシステムと連携させ、アプリを通じて病院予約の前日に利用者へリマインド(再確認)通知するとともにAI運行バスの予約ができる。通院忘れの防止や、確実な来院が期待できる。

 京急ストアとの協力では、健康レシピを利用者の好みに応じて提案するアプリとバスのアプリを連携させ、必要な食材の購入のために、地区内の京急ストアへ来店するきっかけにする。同店舗で開催されるイベント情報や来店時に使えるバスの割引クーポンも提供し、外出機会を促し、健康的な食生活につなげる狙いもある。

 バスはタクシー会社「京急中央交通」が、5~9人乗りの車両3台を使って運行する。運賃は大人300円、小学生150円、未就学児は無料。実証実験は、来年2月24日までで、年末年始は休止する。

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