SNSは危険じゃない! 子どもにスマホを正しく使ってもらうには、まず大人から

ここ最近、SNSを使用した少女の誘拐事件についてニュースで流れていますが、報道の多くは「保護者がスマホをもたせたのが悪い」や「そもそもスマホを子どもにもたせないほうがいい」などといった意見が多く見受けられました。本当にそうでしょうか?

  • スマホは誰でも使えるような設定がされているが、そこから先の使い方については自己責任。
  • スマホを子どもに何も話さず渡すのは、ルールを教えないまま自転車を買い与えるようなもの。
  • “SNSは危険なもの”と子どもから遠ざける前に、大人が正しい知識を付けるべき。
  • 毎日何時間スマホを触っているか確認できる“デジタル・ウェルビーイング”機能を活用しよう。

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スマホ恐怖症を克服するには、まず正しい知識を身につけよう

SNSは危険なもの”と子どもに刷り込んでいくと、保護者側の指導力も低下しかねません。親も子どもも使い方や知識が悪化していく恐れがあります。「スマホ恐怖症」を克服するどころか、スマホと子どもとの関わりやSNS自体の問題とされてしまうのも解決にはつながらないのではと考えています。また大企業として成長しているSNS企業の運営側にも、対応できることはあると思います。

テクノロジー社会において、このままで本当によいのでしょうか。子どもが学ぶ前に、まずは大人から正しい知識を身につけ、賢い使い手になりましょう。これから、パソコンやスマホといったテクノロジーを利用・活用し公共デビューする子どもたちを導き、お手本となる大人の私たちができることは何なのかを考えましょう。今回は、具体的にスマホ恐怖症を克服する方法について具体的にお伝えしていきます。

スマホが使えるのと、知識が備わって使うのとは大きく違う

スマホは誰でも使えるようなわかりやすい設定がされていますが、そこから先の使い方については、現在では自己責任となっています。ただなんとなく使えるのと、しっかりとした知識が備わって使うのとでは大きく違います。

例えるならば、自転車の運転と同じようなものです。自転車は多くの人が漕げ、難しくないので5歳の子どもでも乗れます。便利で、遠くまで出かけられます。

しかしいざ道路に出ると、小さな子どもたちはすぐに事故にあってしまう可能性が高いものです。なぜなら信号機や標識の見方、駐輪場がどこにあるのかなどの知識を身につけていないからです。ヘルメットすらかぶらないまま、車道で子どもが自転車を練習している姿なんて、想像するだけでも身震いがしませんか?

スマホを子どもに何も話さず手渡しをすることは、自転車を買い与えて好きに乗ってきていいよと言っていることと変わりません。まずは大人が、その使い方や知識をお手本として教えていくといいでしょう。そのため、まずは大人自身があらためて使い方を学んでおくことが大切です。

そこでまずひとつ目は、大切な1日をどれくらいスマホに費やしているということを自分で確認できる機能を使うといいでしょう。読者のみなさんは、家族や友人、会社や学校などで話をするときに相手がずっとスマホをもって話を聞いてくれなかったら、どのような気持ちになりますか?

毎日何時間スマホを触っているのか確認できる“デジタル・ウェルビーイング”

筆者は、子どもや大人たちが情報モラルを楽しく学ぶための『情報モラルかるた』(制作/株式会社NEL&M、2018年発行)を使って全国の学校やPTA、保護者、行政、企業への講演をしていますが、『ねえ、聞いて スマホを置いて 私の話』をいう札は、参加した子どもから大人が一番気になった札として挙げているものになります。

多くの人たちが、スマホを置いてちょっと話を聞いてほしいといった経験があるのかもしれません。そこで一緒に考えていただきたいのです。毎日何時間スマホを触っているのかを自分で確認できる機能をご存知でしょうか。“デジタル・ウェルビーイング”と言います。各SNSやアプリを何分間閲覧しているのかも一目瞭然です。

iPhoneだと、「スクリーンタイム」が内蔵されておりAndroidだと「Digital Wellbeing」などのアプリで確認できます。まずは一週間、大人自身がどれくらいスマホを利用しているのかを目視してみましょう。

スマホを子どもに買い与える前に、親としての使い方を理解したうえで、家庭でルール作りをしていかないと「お父さんやお母さんは誰よりも一番スマホを見ているのになぜ私(僕)はいけないの?」となりかねません。デジタルネイティブ世代の家族の絆をどう構築していくのかが、家族の時間を保ち、その後の親子関係にも影響していく時代へと変わってきていると言っても過言ではありません。

次回は、2つ目の方法についてお伝えしていきたいと思います。

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