奇跡の昭和53年!八神純子「みずいろの雨」ザ・ベストテン最高位2位 1978年 12月7日 八神純子のシングル「みずいろの雨」がザ・ベストテンで最高位(2位)を記録した日

歌謡界にとって奇跡の年、昭和53年の「ザ・ベストテン」で衝撃的な出会い!

今、こうして80年代を中心にヒット曲のレビューを書かれているカタリベの方たちにも、それぞれ “この道” に入ったきっかけの曲っていうのがあるんじゃないのかな? そのきっかけの曲… ハッキリしている方もいれば、曖昧な方もいるのかな?

かく言う、ワタシは… これが日付までハッキリしてるんですよ。

それは1978年11月2日。当時9歳。次の日が文化の日の祝日、と言うことで同い年の友達の家に泊まりに行った。いわゆる “お泊まり会” ってやつですね。そこで観てしまったんですよ。『ザ・ベストテン』(以下、ベストテン)。そう、1978年11月2日は木曜日だったんですよね。

ワタシはそれまでヒット曲とは無縁の生活… というのも、親父は歌謡曲が嫌いで、だから歌番組なんて全く見てなかったし、バラエティ番組… 例えばドリフの『8時だヨ!全員集合』でも歌のコーナーになると、すぐチャンネルを回しちゃうような人だった。でも音楽… とりわけ洋楽は好きな人だった。当時、親父の車には8トラックのカーステレオがついていたんだけども、カセットはすべて洋楽。

特にポール・モーリアのカセットは聴いてましたねぇ。その影響で、ワタシも小学校に上がった頃から大のポール・モーリア フリーク。7歳にして、「ポーリ・モーリア、いいねぇ」なんて言ってる、今考えると典型的な “ませたくそガキ” だった。

そんな “ませガキ” だったワタシ、最初は「日本の曲か… けっ!」と興味をそそられなかったんだけども… ハマっちゃったんだよねぇ。

久米宏さんと黒柳徹子さんのテンポの良い MC もさることながら、サザンオールスターズ、世良公則&ツイスト… といったニューミュージック系の存在は9歳のワタシにとってめちゃくちゃ衝撃的だった。

日本の曲なのに洋楽っぽい… いや、まるで洋楽… そんな曲がある。いや、そんな曲を歌うアーティストがいる… ってことが、それまでポール・モーリア オンリーで邦楽を軽く見ていたワタシには驚きだったんだよね。

しかも、それぞれの楽曲にパンチがあるんだよね。まさに “楽曲の時代” だったんですよ。それぞれの楽曲クオリティの高さに思わず引きつけられてしまう。

『昭和40年男』の昭和ソング特集にもあるけど、これが “奇跡の昭和53年” に繋がった一番の要因だったんじゃないかな。

これですっかりベストテンを気に入ってしまったワタシは2週後、さらに衝撃的な出会いをする。

そう、今回セレクトした八神純子さんの「みずいろの雨」がベストテンに初登場したんだよね。

作編曲は八神純子と大村雅朗、インパクトのかたまりだった「みずいろの雨」

この「みずいろの雨」、曲の最初からインパクトのかたまりだったもんなぁ。まさに、楽曲の時代を象徴したような曲ですよね。

 ああ みずいろの雨
 私の肩を抱いてつつんで
 降り続くの

…と、いきなりインパクト全開のサビ「♪ みずいろのあめ~」の部分では、八神純子サン特有の高音が冴える。

わー、すげぇ!と思った矢先に「♪ ふりつづくのーーーー」と半音ずつあがりのロングトーンという二重の衝撃。入りの8小節だけで、ガチッと捕まっちゃいましたもんねぇ。

加えて、歌のウマさ。これだけ高音が伸びる女性アーティストって、あの時代なかなかいなかったですからねぇ。高音とロングトーンの声質に独特の伸びがある。ここに兎に角、引き込まれるんだよね。

この曲は本格的なプロデビューから3曲目の曲。そしてこの曲から、作曲:八神純子、編曲:大村雅朗コンビがスタート。それまでの2曲は比較的スローな、おとなしめの曲だったけど、この曲はリズム的には16ビートでサンバに近い。だから… といっていいのか、トレードマークの “サンバホイッスル” が一番似合った曲でしたね。

特段、難しい使い方しているわけではないんですよ。サンバホイッスルが使われているのは、最後のインストの入りの部分だけなんですよね。でも、これだけでも充分カッコ良かったんだよ。

で、このサンバホイッスルが欲しくなってねぇ。近所でピアノの先生をしていたお姉さんに無理言って、同じものをわざわざヤマハで買ってきたもらったなぁ。そのくらい9歳のワタシにとって魅力的な曲だった。いや、この曲を聴いた多くの方はそう感じたんじゃないかなぁ。

それだけ、今は亡き大村氏が八神純子の魅力をうまく引き出したってことなんですよね。同時に八神純子さんは大ブレイク。まさに黄金コンビでしたね。

ちなみに、この曲の売り上げ58.8万枚っていうのが、八神純子さんにとっては最高セールス。オリコンでの最高位は2位。ベストテンでも同じく2位まで上昇。それが今日、1978年12月7日放送分だったわけです。

この後、80年にリリースしたシングル「パープルタウン」でも2位までランクアップしたけど、八神さん自身、結局オリコンでは1位を取れないまま今日に至ってしまいましたね…。

贔屓目で見ても、1位を獲得しても全くおかしくないクオリティの曲ではあるんだけどねぇ…。 それだけこの当時の1位っていうのは、重みのある特殊なランクだったわけなんだよね。

いずれにしても、あの時ベストテンを見ていなかったら、タイムリーで「みずいろの雨」と出逢うことはなかった。タイムリーに出会ったからこそ衝撃も一段と大きかった… とも言えるんだよね。仮に後付けでも、恐らくはインパクトは受けただろうけど、あそこまでの衝撃にはならなかったと思うし、多分、今こうしてヒット曲のレビューを書いてはいないと思う。「みずいろの雨」は、そのくらい、今のワタシを形成した1曲であることは間違いないですね。

Song Data
■ 八神純子 / みずいろの雨
■ 作詞:三浦徳子
■ 作曲:八神純子
■ 編曲:大村雅朗
■ リリース日:1978年9月5日
■ 発売元:ディスコメイト
■ オリコン最高位:2位
■ 売上枚数:58.8万枚
■ ザ・ベストテン最高位:2位 (1978年12月7日放送分)
■ ザ・ベストテン ランクイン期間:1978年11月16日~1979年1月18日放送分

■ かじやんの THE HITCHART HOT30 最高位:2位
■ HOT30 ランクイン期間:1978年10月9日~1979年2月5日付

カタリベ: かじやん

© Reminder LLC