最下位オリ、減俸わずか12人の“暖冬更改” 選手の士気を高める”にんじん作戦”

大幅増で契約を更改したオリックス・吉田正尚【写真:橋本健吾】

66選手中、減俸となったのは12人、1000万円以上のダウン提示はT-岡田だけ

 オリックスは6日、全ての選手の契約更改を終えた。吉田正尚外野手が1億1500万円アップの2億円、山岡泰輔投手が倍増以上の1億円、山本由伸投手が5000万円増の9000万円でサインするなど“暖冬更改”となった(金額はすべて推定)。

 今季は最下位に終わったチーム。今オフは外国人を除く66選手全員(育成選手も含む)が保留なしの一発サイン、その中で減俸提示を受けたのはわずか12選手で1000万円以上の大幅減はT-岡田外野手(6000万円減)ただ1人だった。若い選手が多くベースとなる年俸が低いこともあるが現状維持、プラス査定となった選手がほとんどでそれには1つの理由があった。

 森川球団本部長は今回の“暖冬更改”についてこう語った。

「全選手と事前交渉をする中でこちらの査定の根拠をしっかり示して。お互いが合意できている。チームの勝利に貢献してくれた選手には報いましょうと。今までの査定の仕方は変わっていませんが“プラスα”の部分はあります。来年、巻き返しをしないといけない。選手の皆さんに励みにという意味も込めた。頑張れば報われると感じ取ってもらえるためにメリハリはつけました」

 出場試合数、打率、本塁打、打点、勝敗、防御率……。山岡、吉田正らは“目に見える”成績を残し大幅アップとなったが、中継ぎ陣、ユーティリティを武器に試合に出場した評価が分かれる選手たちもしっかりと査定したことを森川球団本部長は強調した。

森川球団本部長「選手たちのやる気を奮い立たせてもらうように」

 例えばプロ3年目の沢田圭佑投手は今季、28試合に登板し2勝2敗、防御率4.85。昨季は47試合に登板し5勝0敗、防御率2.54だった。試合数を減らし、防御率も下げた今季は数字だけを見れば減俸と思われるが実際には100万円アップの年俸2700万円で更改している。

 ホールド数が昨季は8、今季は17に上げ、試合の中でも勝ちパターンとしても投げたことが評価された。その他の選手も現状維持、微増が多く表面上の数字だけでは評価できない部分も加味されていた。

 同球団本部長は「選手たちのやる気を奮い立たせてもらうように。契約更改の席ではオフの過ごし方、どうチームが成長していくのか、どう勝利に貢献していくのか。しっかり選手たちの話は聞くことができました。来年もチームの勝利に貢献してもらえるように」と自信を見せている。

 これまでは評価されにくかった“貢献度”を金額で示し、誰もが納得する成績を残した選手には大幅増もあることを認識させる“にんじん作戦”でナインの士気も高めるオリックス。12球団で最もリーグ優勝から遠ざかっているチームの巻き返しに注目したい。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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