おこづかいも資産の一つ、本人に任せることで「家計の時短化」を目指そう

おこづかいは、もらう人(管理する人)のプライベートな聖域。誰からも文句を言われない自由に使えるお金です。だからこそ、おこづかいはたくさんもらえると嬉しいものです。

しかしながら、おこづかいについては、普段はその意味や活用方法についてはあまり深く考えたりはしませんよね。じつは、おこづかいはその特性を理解すると、管理が上手になるばかりではなく、使い方次第で家計管理もラクになります。


おこづかいは責任をもって管理するお金のこと

わが家のお金教育では、おこづかいを利用してきました。お駄賃制からスタートして、定額制のおこづかいに移行しています。

どちらもお金をもらうことには変わりはありませんが、お金の管理能力を育むことができるのは後者の定額制(以下、ここではおこづかいといいます)だと考えています。

おこづかいは、一定期間においてやりくりをしなければなりません。その訓練は大人になって、給与や報酬をもらったときに、役立つ生きる力となるはずです。

わが家では、長女も長男も、小学3年生くらいには定額制になりました。定額制のおこづかいは、毎月決まった日に約束したお金をもらえ(任され)ます。

定額制になるまではお駄賃制ですが、お金の使い道は定額制のおこづかいに移行しても変わることはありません。お金をもらうタイミングが変わるだけです(金額の変動は少々ありました)。

使い道は、長女の場合は月刊マンガ雑誌です。長男は、そのとき欲しいものがすべてだったようです。本来はおこづかいで買う範囲を決めています。

しかし、長男の場合はお金を手にすると使わないと気がすまなない性格なので、常に金欠状態でした(その後の成長ぶりは別の機会に)。

現在は、長女は大学を卒業と同時におこづかいも卒業し、長男は大学1年生で、主に遊びに行くための交通費、趣味のために使うお金をおこづかいとして渡しています。

おこづかいの決め方

おこづかいの金額の決め方は、『PTA講演で最も多い「おこづかいは、いくらから?」の質問』で触れたように、管理する範囲を決めておこづかいの金額を設定する方法をおすすめしています。

そして、子どもが成長していくと、行動範囲や普段関わる費目や金額も増えていきます。そうしたら、子どものおこづかいも、やりくりの範囲を徐々に拡げていくのが理想です。

今年は10月に消費税が増税されました。世の子どもたちにもその影響はあったことでしょう。消費税が増税されたこともおこづかいを見直す機会であっていいと思います。

我が家では、親のおこづかいも「何にいくらかかるか」を積算して予算を立てて決めています。

家族のおこづかいにも範囲を明確にすること

おこづかいの出どころは、「家計」です。この家計は家族の共同の資産だとすると、おこづかいは各々が自由に使うことができるお金だと考えています。

親や子どもが、それぞれに決められたおこづかいを家計からもらって、そのお金の管理の責任を負うことになります。子どものおこづかいといえども、基本、子どものプライベートなお金(資産)と考えるべきでしょう。

おこづかいは、家計から独立した個人のお金なので、やりくりする範囲を任せることで、家計管理もラクになります。私はマネープラスのFP相談で、変動する費用については個々のおこづかいに含めて管理させるようにしなさいというアドバイスをよくします。

家計の収入には限度がありますから、家族があれもこれも自分の事情で家計から支出してしまうと、いくらお金があっても足らなくなってしまうからです。

おこづかいの管理に工夫が生まれる

そこで、散髪・美容院代、交際費や図書費、交通費など各々の生活活動によって変動する費用をおこづかいに含めれば、あとから家計に請求することがなくなります。洋服や靴代など被服費も管理できるようであれば、おこづかいに含めてしまうという手もあります。

そうすることで、各々の責任感がぐっと増します。また、そのお金を無駄にしないように、より良いものを賢く購入しようという工夫が生まれてきます。

たとえば、親であれば、デパートの友の会に入会することで、積み立てた金額を被服や靴の購入に充てることができます。また、普段のちょっとした買い物なら、キャッシュレスを活用し、割引やポイントの恩恵を受けることもできるでしょう。

逆に、今までは趣味に使っていたお金を我慢してお金を貯めようかな、という意識も生まれるかもしれません。

ただし、医療費はかかった毎に精算するようにしています。医者にかかることを節約してしまい、大病を患ってしまっては大変だからです。

メリットは家計管理の時短化

この方法の最大のメリットは家計管理をする人の負担が減ることです。毎月、決まった固定費用を振り分けるだけで、手間がいらないというのは家計管理の時短になります。

私は家計簿をつけません。ただし、簡単な出口管理をしています。毎月、家族の誰に、どの金融機関にいくらを支出するのかだけを管理しています。

忙しい毎日の中で、買い物をした記録を付けたりするのは、大切な時間を取られてしまうだけではなく、気持ちも前向きになれません。

子どもが自分のおこづかいで自分の責任のもとお金を管理してくれるようになることは家計を管理する者としてうれしい限りです。

また、将来、お金を稼ぐようになったときに、お金の管理に戸惑うこともないでしょう。もちろん、親も自分のおこづかいを家計からきちんと取ることで、やりくり意識が向上できそうですね。

わが家では、11月はおこづかいの見直しをする月になることが多いのです。まもなくその年が終わりそうな時期で、しかも、来年からどうするかを話し合うちょうどよい時期ともいえます。

皆さんも、この時期、家族みんなが家計の意識改革を考えられるように、おこづかいを活用してみませんか。

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