「クジラ肉を学校給食に」利用喚起に疑問の声も

 哺乳類のクジラを保護する国際的潮流に反し、捕鯨は日本独自の文化などとして自国の都合から国際捕鯨委員会(IWC)を脱退、7月から日本近海での「商業捕鯨」を始めた日本。5日には「鯨類の持続的な利用の確保に関する法律」を衆院で、全会一致で可決、成立させた。年内に施行する。

 法律は、クジラ肉を学校給食に利用することを盛り込むなど、あえて需要喚起策まで取り入れている。法案は全会一致だが、「クジラ」を食する文化をあえて育成する必要があるのかには国会の外では疑問視する声もある。

 一方で、国際批判をかわす狙いとともにクジラ保護の視点から、捕鯨業は科学的根拠に基づき算出した種類ごとに年間捕獲可能量の範囲で行うこととした。違法に捕獲したクジラ肉が流通しないよう個体識別情報を適正管理する。

 商業捕鯨は安倍総理の地元・山口県と二階俊博自民幹事長の地元・和歌山で盛んだった。水産庁は商業捕鯨について「わが国の領海及び排他的経済水域に限定する。南極海・南半球では調査を含め捕獲は行わない」。

 捕獲可能量は「 国際捕鯨委員会が開発・採択した科学的算出方法に基づいて算出する。算出方法は100年間捕獲を継続しても資源に悪影響を与えないと国際捕鯨委員会科学委員会が認めた方法」。

 この方法に基づいて今年7月1日~12月31日までの商業捕鯨捕獲枠は(1)ミンククジラ52頭(2)ニタリクジラ150頭(3)イワシクジラ25頭としている。

 違法な捕獲を防ぐため水産省は(1)全ての捕鯨業者による日別の捕獲頭数の報告(2)水産庁監督員の母船や鯨体処理場への派遣(3)衛星を利用した船舶位置の確認などで厳格に管理するとしている。(編集担当:森高龍二)

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