ガイド育成へ教材制作 潜伏キリシタン遺産 ベテランの語り映像化

カメラの前で大浦天主堂について紹介する入口事務局長=長崎市南山手町

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のガイドの育成に役立てようと県は5日、ベテランガイドが案内する様子を撮影し、教材化する取り組みを始めた。年度内に制作を終える予定。
 教材は県ツーリズム・アワード初代グランプリを受賞したNPO法人長崎巡礼センターの入口仁志事務局長や現地のガイドらが案内する様子を、各構成資産など県内41カ所で撮影。長崎市、島原半島・大村市、佐世保市、平戸市、五島列島の計5編に分けてDVD計250枚を制作し、県内の自治体や観光協会などに提供する。
 初日となった5日は構成資産の一つ、長崎市の大浦天主堂で撮影。入口事務局長と同センターのガイド、船井サナミさんはカメラの前で「信徒発見」のエピソードや天主堂の歴史的な価値などを紹介した。入口事務局長は「歴史の流れや関わった人たちの生きざまを伝えたい。ガイドの引き出しを増やせるような教材になれば」と話した。
 県はキリスト教の伝来、禁教、復活といった一連の歴史を知ることで同遺産の価値をより深く理解できるとしている。県観光振興課の担当者は「構成資産は県内各地に点在するが、全体的なストーリーを説明することが観光客の満足度向上につながる。ガイド育成のセミナーなどで活用してほしい」と話している。

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