次の“育成の星”は誰になる? 選手の“希望”に変わる「ホークスの育成指名」

支配下5人、育成選手7人の計12人が新たに入団したソフトバンク【写真:福谷佑介】

支配下選手とは明確に線引きされる育成選手だが、消えつつあるネガティブな印象

 5日に行われたソフトバンク「2020年度 新入団選手発表会見」。ドラフト1位の佐藤直樹外野手やドラフト2位の海野隆司捕手ら支配下5人、育成選手7人の計12人のルーキーたちが真新しいソフトバンクのユニホームに袖を通した。

 当然、この場で注目を集めるのはドラフト上位指名の選手たち。今年のソフトバンクの新人で言えば、佐藤や海野、そしてドラフト3位の津森宥紀投手らになる。支配下と育成選手では、やはり多少、対応には差があるものだ。

 例えば、会見でも、まずは支配下5選手に対しての代表質問があり、一度、工藤公康監督からのコメントが挟まれて、その後、育成選手へと移っていく。発表会見後のフォトセッションでも、まずは工藤監督と支配下5人による撮影が行われ、その後、12人全員が写真に収まる。会見後の個別取材でも支配下5人は1人ずつの対応となるが、育成は一斉取材となる。

 千賀滉大、甲斐拓也、周東佑京ら多数の育成出身選手を輩出しているソフトバンクだが、彼らもプロ入り当初は同様の扱いだった。支配下とは明確に線を引かれ、そして、そこで味わう“差”を悔しさに、パワーに変えて努力を積み重ねて、今の立ち位置まで登ってきた。

育成出身でソフトバンクの主力となった周東佑京、千賀滉大、甲斐拓也(左から)【写真:荒川祐史】

オリックス張奕、楽天石橋ら他球団でも育成を経て活躍する選手が出てきた

 支配下指名と育成指名はやはり違うものである。甲斐らに言わせると「プロ野球選手として扱われない」。育成では“指名されたくない”と感じる選手がいるのも事実だ。ただ、千賀や甲斐らの活躍によって“ソフトバンクの育成指名”は、選手たちにとっては“ポジティブ”な印象に変化しつつあるように感じた。

 今年、育成指名を受けた1人の選手は「育成出身の先輩たちが世界の舞台で活躍されている。素晴らしいお手本になる先輩たちがいるので、吸収したいと思っています」と目を輝かせながら語った。そして、“育成指名”に対してネガティブな印象は「ない」と言い切っていた。

 他球団でもオリックスの張奕投手や楽天の石橋良太投手といった活躍を見せる選手たちも出てきている育成選手制度。もともとはドラフトにかかるかも際どかった選手たち。自分たちも頑張れば、千賀や甲斐のようになれるかもしれない。一芸に秀でた選手を鍛え上げるシステムには、選手たちも大きな可能性を感じるようになってきている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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