中国残留日本人2世の苦難 日本社会の壁 心病んだ娘 10年超入院

 中国残留日本人の2世の多くが、言葉や生活習慣の違い、それらによる就労の難しさなど日本社会でさまざまな壁に突き当たり、孤立感にさいなまれている。その結果、心身に不調を来す人も多いという。
 長崎市内の公営住宅で1人で暮らす残留孤児の女性(79)は終戦時、旧満州で母、妹、弟をいっぺんに亡くし、中国の貧しい家庭で育てられた。1981年、41歳で念願の永住帰国を果たした。
 しかし、中国から呼び寄せた娘(54)は「中国人だから」と就職差別に遭い、昼夜なく働いて稼いだお金も日本人夫にギャンブルに費やされ、心を病んでしまった。もう10年以上も精神科病院に入院しているという。
 「娘のことを思うと死ぬに死ねない」と残留孤児の女性は泣き崩れた。
 県中国帰国者二世の会会長の宮崎一也さん、智子さん夫妻は県内在住の2世や中国人配偶者たちと面談し「心を病んだり、体調を崩して病院通いをしている人が多くて驚いた」。九州地区中国帰国者二世連絡会の小島北天会長(72)=福岡県=は「2世の多くが『負の連鎖』に陥っている。支援が急務だ」と話した。


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