中国残留日本人2世の苦難 「共生」の意識を高めて 3世の長崎大准教授 南誠氏

2世が抱える課題などについて語る南准教授=長崎市文教町、長崎大

 日本に定住した中国残留日本人2世、3世の人たちが日本社会で生きていく上でどんな課題が横たわり、どう解決していけばいいのか。長崎大多文化社会学部の南誠准教授(44)=国際社会学=が語った。
◇ ◇ ◇ 
 私も残留日本人3世です。中国黒竜江省樺南県で生まれました。長野県から開拓団として旧満州に渡り、中国に取り残された祖母(90)は1986年に永住帰国。89年、両親と兄と私の家族4人も日本に定住しました。2011年から長崎大に勤務しています。
 40代を過ぎて帰国した2世はさまざまな困難を抱えています。1世と違って法的支援対象にはなっておらず、支援策は何もないに等しい。日本語を習得できずに仕事に就けず、社会的に孤立してる人も少なくありません。都市部に比べ民間支援団体が少ない地方都市ほど、その傾向は強いです。
 3世は、2世のように高齢化の問題に今すぐ直面するわけではありませんが、親のルーツが中国にあるということで日本社会で疎外感を感じ、人によっては精神的な影響が出る場合もあります。外国人労働者の場合も同じですが、外国にルーツがある人たちとの「共生」についてもっと社会全体で意識を高めるべきだと思います。
 2世の人たちは帰国後、日本で生きていくのに精いっぱいでした。今年、長崎に「二世の会」が設立されたのは高齢化や孤立などの課題が深刻化していることの裏返しです。会が「互助組織」として機能しながら、足らざる部分を行政や民間団体が支援していくことを期待します。


© 株式会社長崎新聞社