「怒りに震えた」 内部告発に市長「情報漏えいの恐れ」 監督組織なく、訴え軽視〈検証・島尻消防〉中

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 「第三者委員会の設置を指示する」。島尻消防組合消防本部の管理者である瑞慶覧長敏南城市長の一言は、内部規定や救急記録の書き換え、賭博の横行など島尻消防の不正を告発した職員を安堵(あんど)させた。「良かった。声が届いた。これで組織が変わる」。しかし翌4日夜、彼らを落胆させたのは、同じ瑞慶覧市長の言葉だった。

 「情報漏えいの恐れがある」「内部資料が出ていることの方がもっと問題だ」「セキュリティーの問題だからきっちり調査するようにと(島尻消防に)指示を出した」

 幹部が関与したとされる組織の不正を訴える先は、報道機関など外部しかなかった。しかし、瑞慶覧市長から出たのは、告発に内部資料が使われた点を問題視する発言だった。

 「怒りに震えた。市長室に押し掛けようと思った」。報告書の記録改ざんや条例の基準を超えた昇格(いわゆる「飛び級」)などについて証言した男性職員は、内部告発を軽視したかのような瑞慶覧市長の発言に怒りをぶつけた。

 「どんな思いで外に助けを求めたか―。市長が見ているのはほんの一部の職員、不正に関与していた幹部たちだ」

 別の男性は「屋比久学消防長が代表者としてコメントしているが、実際に不正をしているのは他の幹部たちだ。調査で明らかにされなければならない」と話す。

 書き換えが明らかになった内部規定について、仲宗根忠真弁護士は「訓令として施行したものを書き換えている。幹部が条例を理解していないからだ」と説明。「横行する不正を監督する組織が存在しないのも、内部告発が出る大きな要因の一つだ」と問題点を指摘する。

 第三者委の発足時期や構成メンバーなどはまだ決まっていないが、幹部の不正を訴えたいという声は相次ぐ。出張所で不正を目撃した男性は「幹部の時間記録の改ざんの指示に応じない職員がいる。幹部は勝手に用意したその人の認め印を使って、書類の改ざんをしている」と憤る。同様の証言は複数あり、「第三者委で話す」としている。

 いつ、どのような形で第三者委は設置され、調査が実施されるのか。琉球大学法科大学院教授の井上禎男氏は「第三者委が設置されるだけでは不十分だ。第三者委がどんなメンバーで組織されるかが鍵を握る」と説明する。管理者や組織の今後の対応が注視される。

 (嘉数陽)