新年の多幸願い込め 毛越寺・飾り花作り大詰め/岩手

年の瀬が押し迫る中、毛越寺で大詰めを迎えている桜の飾り花作り

 年の瀬が押し迫る中、平泉町の毛越寺(藤里明久貫主)で新年を迎える準備となる桜の飾り花作りが大詰めを迎えている。型抜きした和紙を重ねて仕上げられた花は木の枝に取り付けた後、境内の諸堂に向こう1年間供えられる。

 飾り花は同寺に伝わる国重要無形民俗文化財「延年の舞」の「花折」にちなむ八重桜で300個を製作。木の枝に取り付けて常行堂や開山堂、位牌(いはい)堂に供えられるほか、小枝に付けたものは延年の舞で童子が手にして舞う小道具として使われる。

 10月から始まった作業では、同寺職員が桜の花びらの形に型抜きして縁を染料で赤く染めた和紙を10枚重ねて貼り合わせ、形を丸く整えて仕上げている。

 5日からは飾り花作りのほか、常行堂に供える高さ約1・7メートルある木の枝に緑で染めた和紙の葉と一緒に取り付ける作業も開始。今年から参加した佐藤奈保子さん(38)は「来年は皆さんが健康で幸せな年となるように願いを込めて作っている」と語り、1個ずつ丁寧に作業を進めていた。

 同寺では今後新年を迎える準備が本格化。28日には破魔矢や熊手、開運扇など初詣で参拝客用となる縁起物の加持祈祷(きとう)を本堂で営むほか、鏡餅用の餅つきや山門への大しめ縄飾り付けなどが行われる。

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