発達障害への理解を深めるイベント「横須賀市児童生徒ふれあいフェスタ」が11月29日、横須賀市文化会館(神奈川県横須賀市深田台)で開かれ、パネルディスカッションなどを通じて、当事者の自立のための方策などについて考えを深めた。12月3~9日の障害者週間に合わせて市内で行われているキャンペーンの一環で、同市野比にある国立特別支援教育総合研究所と市教育委員会が主催した。
第1部のパネルディスカッションには、当事者の保護者や支援者らが登壇。市内在住の保護者は、自閉症の20代の息子が就職するまでの日々を写真などを交えながら振り返った。
息子は小学5年から中学校卒業まで現在の特別支援学級に通ったが、本人の希望から私立高校に入学。慣れない環境下で人間関係に悩んだが、卒業後は神奈川能力開発センター(伊勢原市)での就労に向けた訓練を経て就職し、5年がたった今は仕事にも慣れてきたという。
保護者は「医師や教員、就労支援のおかげで、ここまで来ることができた」と話し、切れ目ない支援の重要性を強調した。
また、市療育相談センターで発達障害の診断や支援などに当たる広瀬宏之医師は「成功体験が発達の原動力になる」と説明。障害者の就労支援を担うよこすか就労援助センターの後藤由紀夫さんは「子どもが小さい頃から、働くことについて家族の中で話すことが大切」と呼び掛けた。
ファシリテーター(進行役)を務めた国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センター長、笹森洋樹さんは「皆で協力して困難さを軽減する取り組みの大切さを知ってもらい、発達障害のある人も一緒に働ける社会を目指したい」と話した。
パネルディスカッションの後には、第2部として発達障害の当事者が感じる困難さを体験するワークショップを開催した。