市所有の大型商業施設、どうなる来夏閉店後 福山のリム、再生へ規模や時期が焦点

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来年8月30日で閉店するエフピコRiM。駅前再生が進む中、市が閉店後の在り方をどう描くのか注目される

 福山市所有の大型複合商業施設「エフピコRiM(リム)」を巡り、市が来年8月30日の閉店後の在り方をどう描くのか注目されている。設備の老朽化が深刻化する中、枝広直幹市長は本年度中に方向性を示し、スピード再生を図るとする。JR福山駅前再生と絡む重要課題で、10日に始まる市議会一般質問では複数の市議が関連質問を予定する。論点を整理した。

 リムは1992年開業の旧福山そごうが前身で地上9階、地下2階建て。市は全体改修(概算事業費65億円)▽一部フロアを閉鎖した上での改修(40億円以下)▽一部フロアを減築した上での改修(40億円)▽解体(30億円)・売却―の4案から1案に絞る。枝広市長のこれまでの発言から閉鎖型で進めるとみられる。

 枝広市長は11月下旬、岩手県花巻市に向かい、閉鎖型の成功例とされる旧老舗デパートの「マルカンビル」を視察し、再生手法を聴いた。花巻市によると2016年6月の閉店後、地元の新会社が運営を引き継ぎ、17年2月に1階と6階だけを使い、営業を再開。今では地下1階や地上2階の活用も決まった。

 枝広市長は大型商業施設からの転換を掲げ、「必要最小限の床面積での再生」を提唱する。どの程度の規模感で、どういったスケジュール感で再出発を切るのかが焦点となる。

 ▽価値上向く駅周辺

 市がスピード再生を強調するのは、駅前再生事業に伴い高まっているエリア価値への影響を抑えるためだ。

 南口では現在、旧商業ビル「キャスパ」の再開発が始動。地元の社長たちが設立したまちづくり会社「築切家守舎(つっきりやもりしゃ)」を中心に古いビルを改修し、飲食店などとして開業するケースが相次ぐ。北口ではJR西日本のホテル整備計画が進む。19年の公示地価では駅周辺が回復基調となった。市幹部は「流れを止めるわけにはいかない」。

 市は官民連携でのリム再生を描く。市によると、18年度実施の再生手法の調査結果では、必要最小限の投資でのにぎわい創出に向け、公益にも寄与する「パブリックマインド」を持った民間主体の組織が運営を含めて事業を担うのが有効と提案。「積極的第三セクター」と称し、市が事業を委ねる▽責任の所在を明確にする▽民間事業による低コストでの施設改修―などの特徴や利点を示した。市は現在、調査結果を念頭に検討を急いでいる。

 ▽民意くむ姿勢必要

 一方、リムはそごうを含めて3度目の閉店となり、市議会では「再生は一筋縄ではいかない」「閉店に至った経緯の検証が不可欠」との声も。郊外型店舗に押されて商圏が細り、物販中心の限界も指摘される。どのようなコンテンツで再生を図るかが鍵となる。

 リムには46の民間テナントと11の公共施設が入る。枝広市長はリムの今後について、公共の「子育て拠点」と民間の「福山の未来を育てる場」にしたい考えだ。駅前における位置付けを具体化し、民間の投資が呼び込める環境をどう整えるのか。公共施設も市民サービス低下を招かない再配置が欠かせない。

 市はリムの方向性について、駅前再生の具体策を検討している官民の「デザイン会議」で議論をもむ。リムは年間約180万人以上が訪れる集客拠点。多額の財政支出が避けられない中、民意を丁寧にくみ取る姿勢も求められる。(胡子洋)

 <クリック>エフピコRiM(リム) 1992年4月開業の福山そごうが前身。2000年12月に閉店後、市が建物を購入、土地は所有者の寄付を受けた。天満屋(岡山市北区)が03年4月に「福山ロッツ」として営業を始めたが13年4月に閉店。続いて大和情報サービス(東京)が管理運営を担い、同9月にグランドオープンした。市との賃貸借などの契約期間は10年だったが、設備の老朽化などで10月、営業継続は困難と判断し、満了前の20年8月末の閉店で市側と合意した。