結び直した異例の7年契約 楽天・則本昂がシーズン中にあえて公表した理由

トークショーに出演した楽天・則本昂大【写真:編集部】

館山コーチとのトークセッションでファンに説明

 2019年シーズン中に、驚くような大型契約が話題になった。楽天・則本昂大投手が3年契約の最終年の今季前に、球団と話し合い、2025年までの7年契約を結んだことが明らかになった。これまでの契約を白紙にして、結び直してシーズン中に明らかにするという日本のプロ野球界では異例の形だった。日本選手の7年契約は松中信彦(ソフトバンク)以来。球団の則本昂に対する気持ちが伝わる内容だった。

 則本昂は先日、都内で行われたプロ野球選手、球団の慈善活動をサポートするBLF(ベースボール・レジェンド・ファウンデーション)のチャリティーイベント「BLF チャリティートーク2019」に出演した。その席で自身の契約について触れ、ファンへシーズン中にあえて公表した理由を明かした。

「契約の組み直しという(文化)を日本でもやろうという風になればいいと思いました。選手の待遇改善という点でも大切なことなのかなと」

 球団の思いと、選手の地位向上がマッチした今回の契約。これが日本のプロ野球の改善になればという願いが込められていた。

 トークショーでは隣にいた館山コーチから「7年で20勝ずつ勝てば……140勝。(24勝した)マー君のペースでいうと、160勝くらい勝ってくれれば、素晴らしい!」と実際は2019年から7年だが、シンプルに計算式を披露して会場を盛り上げると、エースは「その半分、勝てれば……」と控えめに返答。すると、そんな様子を見かねた館山コーチが「限界は作らない!」「投げる試合は…?」と語気を強めてあおると、則本昂は「全部勝つ!」と気合を入れて返すなど、絶妙な掛け合いを見せて、会場を沸かせていた。

 一時はメジャー挑戦への夢も明かしていたが、愛する東北、楽天に骨をうずめる覚悟、日本のプロ野球への愛着が伝わってきた則本昂の言葉だった。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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