「長崎地域の考古学研究2019」 辺境・境界の歴史克明に

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「長崎地域の考古学研究2019」

 弥生時代の大規模な環濠(かんごう)集落跡、原の辻遺跡(壱岐市)をはじめ、数多くの遺跡が点在する県内。列島の最西端で大陸に近く、歴史上、常に海外交流や防衛の最前線となってきた。本書は1994~2018年に著者が執筆した約20の論稿を集大成。古代から近世までの発掘成果から、「辺境・境界の地」の歴史が克明に浮かび上がる。
 著者は1976年県教委に入庁。2010年に県埋蔵文化財センター(同市)調査課長を退職するまで、開発事業に伴う発掘などで県内各地の81カ所(61遺跡)に携わった。県考古学会前副会長。
 4部構成の第1部では、原の辻の発掘成果から、朝鮮半島との交易基地として栄えた集落の姿を考察。第2部で取り上げた県本土部の弥生遺跡、第3部の古墳遺跡なども、大陸や海洋文化の色濃い影響を反映している。中世・近世に関する第4部は、陶磁器の生産と貿易について。
 古代以来の重層的な海外交流史はやがて、現代の長崎が持つ異国情緒のイメージに連なっていく。古里の原点に触れる一冊。
 自費出版(非売品)、440ページ。図書館などで閲覧できる。