【助産師解説】赤ちゃんの寝相が悪いのは問題?主な原因と対策

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この記事の解説助産師
佐藤 裕子先生
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院の総合周産期母子医療センターで10年勤務。現在は助産院マタニティハウスSATOにて、妊娠から出産、産後のトータルケアを担っています。「日々ママや赤ちゃんに寄り添い、笑顔になってくれるのが何よりのやりがいです 」

赤ちゃんの寝相が悪いのはなぜ?主な2つの要因

赤ちゃんの寝相が悪いのは、そう珍しいことではありません。むしろ、寝相が悪い赤ちゃんの方が多いかもしれません。というのも、寝相が悪くなるのには理由があるからです。考えられる主な2つの要因について見ていきましょう。

主な要因は睡眠サイクルとの関係

赤ちゃんの寝相がひどいと思えるくらいに悪くなりがちなのは、睡眠サイクルに理由があると考えられています。

睡眠サイクルには、大きくレム睡眠とノンレム睡眠の2つの状態があります。

・レム睡眠…身体は休んでいるが、脳は活発に動いている状態。目を閉じていても目玉が素早く動く「急速眼球運動」が起こり、夢を見るのもほとんどがこの状態のときです。
・ノンレム睡眠…眠りが深く、脳の一部が休んでいる状態。「急速眼球運動」は起こらず、夢もあまり見ません。

一般的に、大人は眠るとまず深い睡眠であるノンレム睡眠に入り、その後浅い睡眠であるレム睡眠に移行します。ノンレム睡眠とレム睡眠は90分間隔で訪れ、このサイクルを一晩に4~5回繰り返しています。

しかし、赤ちゃんの睡眠サイクルは大人のこれと大きく異なります。

生まれたばかりのころは睡眠時間のおよそ50%がレム睡眠と、レム睡眠の割合がとても多くなっています。新生児期の赤ちゃんが、1回の睡眠時間が短く、ちょっとした物音でもすぐに起きてしまうのはこのためです。その後、レム睡眠の割合は成長とともに減少していきますが、脳波上、成人と同じ90分サイクルになるのは3~6歳ごろです[*1]。

このように、赤ちゃんの頃は睡眠サイクルが大人と違い、特にレム睡眠の割合が多いのですが、これが寝相を悪くしている大きな要因と考えられています。というのも、レム睡眠時は睡眠が浅い状態なので、ノンレム睡眠時に比べて身体がよく動くためです。実際に睡眠中の様子を脳波とビデオカメラで同時に記録すると、レム睡眠時の方が寝返りや手足の動きが多かったことがわかっています。赤ちゃんの頃はレム睡眠の状態が長いことで、身体の動きがより多くなり、寝相も悪くなりがちなのですね。

寝ている環境が要因になっていることも

睡眠サイクルの他、寝ている環境が寝相を助長している可能性もあります。

東京都福祉保健局が公開している「健康・快適居住環境の指針(平成28年度改訂版)」によると、赤ちゃんが過ごしやすい室温は、冬:20~25℃/夏:外気温より4~5℃低い程度、湿度は50%前後となっています[*2]。寝ている間の部屋の温度や布団、服装が暑すぎると、熱を放出しようと寝返りを多くうつように。寝相が悪くなる要因となることがあります。

赤ちゃんの体温は、大人に比べて気温の変化の影響を受けやすいものです。寝返りが多く寝苦しそうにしているときは、体温や汗のかき具合をチェックし、部屋の温度や布団などを調整しましょう。

赤ちゃんの寝相が悪いときのリスクは?対策したい3つのこと

赤ちゃんの寝相が悪くなるのは、睡眠サイクルなどにともなう自然な現象なので、それ自体は特に心配ありませんが、寝相が悪いと場合によってはトラブルが起こる可能性もあります。起こりうるリスクを知り、しっかり対策しましょう。

寝冷え対策をしよう

寝相が悪いと、寝返りをうつうちに布団をけとばしたり、服がめくれ上がってしまうことがありますので、寝冷え対策をしっかり行うことが大切です。暴れてもお腹などが出ないよう、肌着だけでもロンパースにしたり、寒い季節はスリーパーを着せるなどするといいでしょう。

ただし、着せすぎると体温が上がり過ぎて、寝苦しくなってしまうこともあるので注意が必要です。布団から手足が飛び出しているくらいなら問題はないので、あまり神経質になることはないでしょう。寝苦しいと寝返りが多くなるので、よく動くときは汗のかき具合などをチェックし、服装や掛け布団、部屋の温度を調節してあげてください。

ベッドの場合は転落対策も重要

ベビーベッドを利用している場合は、必ず柵をしてロックをした上で使用するよう注意しましょう。

寝返りが多くなると転落の危険がぐんと高くなります。今年(2019年)に入り、ベビーベッドでの死亡や怪我の事故が相次いでいますが、柵を閉めてもロック金具が正しく使用されていなかったために、赤ちゃんの寝返りなどで柵が開いてしまうケースも報告されています。この機会に、正しい使用方法やロック機能に故障はないかなどを確認しておきましょう。

また、大人用ベッドで寝かしつけをする場合でも、赤ちゃんが眠った後はできるだけベビーベッドに移しましょう。大人用ベッドで赤ちゃんが眠ることは、転落のほか、添い寝している人の体で押しつぶしてしまう、赤ちゃんが寝返りした際に壁との隙間に挟まってしまうなどして窒息の危険があります。なお、赤ちゃんを大人用ベッドに寝かせたまま保護者がその場を離れることもないように注意してください。

うつぶせ寝による窒息にも注意

寝返りをよくうつようになると、気がついたらうつぶせになっているということも。窒息の危険がないよう、万が一に備えて硬めの敷布団を利用し、シーツは常にぴんと張る、枕は使わない、 ぬいぐるみやクッションなど顔をうずめやすいものを近くに置かないなどの対策も心がけまましょう。

なお、うつぶせで眠ることは乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めることでも知られています。厚生労働省でも、「1歳まではできるだけ仰向けで」との勧告を出していますね。
ただ、これは「1歳までは故意にうつぶせ寝にすることはやめよう」というもので、自然とうつぶせ寝になることを防ぐ必要まではありません。寝返りが自由にできるようになる頃に、「寝付くときは仰向けだったのに寝ている間にうつぶせになってしまう」ということであれば、神経質になることはないでしょう。
米国小児科学会の「SIDSとその他の睡眠関連の乳児死亡」に関する勧告でも、「赤ちゃんを仰向け寝で寝せることが安全なのはいつまでかについて、はっきりしたことはわかっていないが、1歳までは仰向け寝が勧められる。ただし、仰向けからうつぶせ、うつぶせから仰向けへの寝返りができるようになったら、寝たい位置のままでOK」という旨が記載されています[*3]。

まとめ

赤ちゃんは大人に比べてレム睡眠の割合が多いので、寝相も悪くなりがちに。自然なことなので健康面の心配はありません。もしかしたら部屋の温度や布団が暑いなど、寝ている環境にも要因があるかもしれないので、寝苦しそうではないか、汗の量が多くないかなどこまめにチェックし、服装などを調整してあげましょう。寝相が悪いと掛け布団をけとばす、敷布団からはみ出るなども日常茶飯事なので、寝冷えや転落対策も心がけてくださいね。また、寝ている間に動くことを想定して、ベッド柵の正しい使用方法などを再度確認するなど、就寝環境の安全には細心の注意をしましょう。

(文・構成:マイナビウーマン子育て編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)

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